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January 27, 2011 Vol. 364 No. 4

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遺伝子組換え組織プラスミノーゲン活性化因子による透析カテーテルの機能不全の予防
Prevention of Dialysis Catheter Malfunction with Recombinant Tissue Plasminogen Activator

B.R. Hemmelgarn and Others

背景

血液透析におけるカテーテル機能不全と菌血症のリスク低減を目的として,各透析後に中心静脈カテーテル内腔に各種溶液(カテーテルロック溶液)が注入されるが,その効果は明らかにされていない.

方 法

新たに中心静脈カテーテルを挿入された長期血液透析(週 3 回施行)患者 225 例を,カテーテルロックレジメンとしてヘパリン(5,000 U/mL)を週 3 回用いる群と,2 回目の透析時にヘパリンの代わりに遺伝子組換え組織プラスミノーゲン活性化因子(rt-PA)(各内腔に 1 mg)を用いる群(1 回目と 3 回目はヘパリンを使用)に無作為に割り付けた.主要転帰はカテーテル機能不全とし,副次的転帰はカテーテル関連菌血症とした.治療期間は 6 ヵ月とし,治療割付けは患者,試験責任医師,試験スタッフには伏せた.

結 果

カテーテル機能不全は,ヘパリン群 115 例中 40 例(34.8%),rt-PA 群 110 例中 22 例(20.0%)で認められ,ヘパリンのみを用いた場合,カテーテル機能不全のリスクは,rt-PA を週 1 回用いた場合の約 2 倍になることが示された(ハザード比 1.91,95%信頼区間 [CI] 1.13~3.22,P=0.02).カテーテル関連菌血症は,ヘパリン群では 15 例(13.0%)に認められたのに対し,rt-PA 群では 5 例(4.5%)に認められた(患者 1,000 人・日あたりの件数はヘパリン群 1.37 件,rt-PA 群 0.40 件に相当,P=0.02).あらゆる原因による菌血症のリスクはヘパリン群が rt-PA 群の 3 倍高かった(ハザード比 3.30,95% CI 1.18~9.22,P=0.02).出血などの有害事象のリスクは両群で同程度であった.

結 論

中心静脈カテーテルのロック溶液として,ヘパリンの代わりに rt-PA を週 1 回用いることにより,ヘパリンを週 3 回用いた場合に比べ,カテーテル機能不全と菌血症の発生率が有意に低下した.(Hoffmann-La Roche 社から研究助成を受けた.Current Controlled Trials 番号:ISRCTN35253449)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 303 - 12. )