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March 3, 2011 Vol. 364 No. 9

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強化血糖降下療法が心血管転帰に及ぼす長期的影響
Long-Term Effects of Intensive Glucose Lowering on Cardiovascular Outcomes

The ACCORD Study Group

背景

進行した 2 型糖尿病を有し心血管疾患リスクの高い患者に強化血糖降下療法を行うと,死亡率が上昇することがこれまでに示されている.今回,平均 3.7 年間の強化血糖降下療法を行う場合の死亡率と主要心血管イベントに関する 5 年転帰について報告する.

方 法

2 型糖尿病で心血管疾患もしくは心血管疾患の追加危険因子を有する被験者を,強化療法群(目標糖化ヘモグロビン値 6.0%未満)と,標準療法群(目標糖化ヘモグロビン値 7~7.9%)のいずれかに無作為に割り付けた.強化療法群の死亡率が高かったことから,強化療法の中止後はすべての参加者の目標糖化ヘモグロビン値を 7~7.9%とし,予定していた試験終了時まで追跡した.

結 果

強化療法の中止前には,主要転帰(非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中,心血管系の原因による死亡の複合)の発生率に強化療法群と標準療法群で有意差は認められなかった(P=0.13).しかし,強化療法群で全死因死亡(主に心血管系)が多く(ハザード比 1.21,95%信頼区間 [CI] 1.02~1.44),非致死的心筋梗塞が少なかった(ハザード比 0.79,95% CI 0.66~0.95).これらの傾向は全追跡期間を通して認められた(死亡のハザード比 1.19,95% CI 1.03~1.38,非致死的心筋梗塞のハザード比 0.82,95% CI 0.70~0.96).強化介入の中止後は,強化療法群の糖化ヘモグロビン値の中央値が 6.4%から 7.2%に上昇し,血糖降下薬の使用と,重度の低血糖およびその他の有害事象の発現率は,両群で同程度であった.

結 論

糖化ヘモグロビン値 6%未満を目標とした 3.7 年間の強化療法を行うことにより,標準療法に比べ,非致死的心筋梗塞の 5 年発生率は減少したが,5 年死亡率は上昇した.進行した 2 型糖尿病を有する高リスク患者に対しては,このような戦略は推奨できない.(米国国立心臓・肺・血液研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00000620)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 818 - 28. )