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October 13, 2011 Vol. 365 No. 15

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バレット食道患者における腺癌の発生
Incidence of Adenocarcinoma among Patients with Barrett's Esophagus

F. Hvid-Jensen and Others

背景

バレット食道患者における食道腺癌と高度異形成の発生について,正確な住民調査データが必要とされている.

方 法

デンマーク病理登録とデンマーク癌登録のデータを用いて,1992~2009 年の期間におけるデンマークのすべてのバレット食道患者を対象に,全国規模の住民ベースのコホート研究を行った.腺癌と高度異形成の発生率(1,000 人年あたりの症例数)を検討した.相対リスクの指標として,研究期間におけるデンマーク全体での癌罹患率を用いて標準化発生比を算出した.

結 果

バレット食道患者 11,028 例を同定し,そのデータを中央値で 5.2 年間解析した.指標とした内視鏡検査後 1 年以内に,新たに 131 例の腺癌症例が診断された.その後新たに 66 例の腺癌が検出され,腺癌発生率は 1.2 例/1,000 人年(95%信頼区間 [CI] 0.9~1.5)となった.一般集団と比較して,バレット食道患者における腺癌の相対リスクは 11.3(95% CI 8.8~14.4)であった.食道腺癌の年間リスクは 0.12%(95% CI 0.09~0.15)であった.指標とした内視鏡検査における軽度異形成の検出は,腺癌発生率 5.1 例/1,000 人年に関連した.一方,異形成を伴わない患者の腺癌発生率は 1.0 例/1,000 人年であった.高度異形成発生のリスク推定値は,腺癌よりわずかに高かった.

結 論

バレット食道は食道腺癌の強力な危険因子であるが,絶対年間リスク 0.12%というのは,現行のサーベイランスガイドラインの根拠とされる想定リスク 0.5%と比較してはるかに低い.本研究のデータから,異形成を伴わないバレット食道患者に行われているサーベイランスの理論的根拠に疑問が投げかけられる.(デンマーク・オーフスのオーフス大学臨床研究所から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 365 : 1375 - 83. )