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November 17, 2011 Vol. 365 No. 20

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ループス腎炎の維持療法としてのミコフェノール酸とアザチオプリンとの比較
Mycophenolate versus Azathioprine as Maintenance Therapy for Lupus Nephritis

M.A. Dooley and Others

背景

ループス腎炎の初回コントロール後,寛解を維持し再発を予防するためには維持療法が必要とされる.維持療法にはアザチオプリンまたはミコフェノール酸モフェチルが用いられることが多い.

方 法

6 ヵ月の寛解導入試験において寛解基準を満たした患者を対象に,36 ヵ月の無作為化二重盲検ダブルダミー第 3 相試験を行った.各群に経口ミコフェノール酸モフェチル(1 日 2 g)または経口アザチオプリン(1 日 2 mg/kg 体重)とプラセボを投与して比較した.試験群は,1:1 の割合で再度無作為化した.プレドニゾンまたは同等薬の投与を 1 日最大 10 mg まで認めた.主要有効性エンドポイントは治療失敗までの期間とした.治療失敗は,死亡,末期腎不全,血清クレアチニン値倍増,再燃,ループス腎炎に対する救済療法と定義した.副次的評価項目は,治療失敗の各項目までの期間,有害事象などとした.

結 果

227 例を維持療法に無作為に割り付けた(ミコフェノール酸モフェチル群 116 例,アザチオプリン群 111 例).ミコフェノール酸モフェチルは,主要エンドポイントである治療失敗までの期間(ハザード比 0.44,95%信頼区間 0.25~0.77,P=0.003)と,再燃までの期間および救済療法までの期間(ハザード比<1.00,P<0.05)について,アザチオプリンよりも優れていた.観察された治療失敗率は,ミコフェノール酸モフェチル群で 16.4%(116 例中 19 例),アザチオプリン群で 32.4%(111 例中 36 例)であった.高頻度に認められた有害事象は軽度の感染症と胃腸障害で,発生率は両群ともに 95%を超えていた(P=0.68).重篤な有害事象は,アザチオプリン群の 33.3%とミコフェノール酸モフェチル群の 23.5%に発生し(P=0.11),有害事象による中止率は,アザチオプリン群のほうがミコフェノール酸モフェチル群よりも高かった(39.6% 対 25.2%,P=0.02).

結 論

寛解導入療法に反応したループス腎炎患者において,ミコフェノール酸モフェチルは,寛解の維持と再発の予防に,アザチオプリンよりも優れていた.(Vifor Pharma 社 [旧 Aspreva 社] から研究助成を受けた.ALMS ClinicalTrials.gov 番号:NCT00377637)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 365 : 1886 - 95. )