March 15, 2012 Vol. 366 No. 11
多発性硬化症に対する経口ラキニモドのプラセボ対照試験
Placebo-Controlled Trial of Oral Laquinimod for Multiple Sclerosis
G. Comi and Others
概念実証(proof-of-concept)臨床試験 2 件により,ラキニモド(laquinimod)は再発寛解型多発性硬化症患者の疾患活動性を低下させるというエビデンスが得られている.
24 ヵ国 139 施設において,無作為化二重盲検第 3 相試験を行った.再発寛解型多発性硬化症患者計 1,106 例を,ラキニモド 0.6 mg を 1 日 1 回経口投与する群とプラセボを投与する群に 1:1 の割合で無作為に割り付け,24 ヵ月間投与を行った.主要エンドポイントは,24 ヵ月間で計算した年間再発率とした.副次的エンドポイントは,確認された障害の進行(総合障害度評価尺度 [Expanded Disability Status Scale] スコアの上昇が 3 ヵ月以上持続することと定義),ガドリニウム増強病変の累積数,MRI T2 強調画像での新規病変または拡大病変の累積数などとした.
ラキニモドによる治療は,プラセボと比較して,平均(±SE)年間再発率のわずかな低下(0.30±0.02 対 0.39±0.03,P=0.002)と,確認された障害の進行リスクの低下(11.1% 対 15.7%,ハザード比 0.64,95%信頼区間 0.45~0.91,P=0.01)に関連した.ガドリニウム増強病変および T2 強調画像上の新規病変または拡大病変の平均累積数は,ラキニモド群のほうがプラセボ群よりも少なかった(それぞれ 1.33±0.14 対 2.12±0.22,5.03±0.08 対 7.14±0.07;両比較について P<0.001).アラニンアミノトランスフェラーゼ値が正常範囲上限の 3 倍以上に一過性に上昇した患者は,ラキニモド群 24 例(5%),プラセボ群 8 例(2%)であった.
この第 3 相試験では,再発寛解型多発性硬化症患者に対しラキニモドを 1 日 1 回経口投与することで,障害の進行が遅延し,再発率が低下した.(Teva Pharmaceutical Industries 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00509145)