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March 15, 2012 Vol. 366 No. 11

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日光角化症に対するインゲノールメブテートゲル
Ingenol Mebutate Gel for Actinic Keratosis

M. Lebwohl and Others

背景

日光角化症は,日光に関連する扁平上皮癌の前駆病変としてよくみられる.日光角化症と,その周囲の皮膚に対する治療(領域療法)によって,臨床的な日光角化症と潜在性の日光角化症を消失させることが可能である.現在の局所領域療法では,数週間から数ヵ月間に及ぶ治療が必要である.われわれは,日光角化症に対する新規の局所領域療法であるインゲノールメブテート(ingenol mebutate)ゲル(顔面・頭皮用 0.015%,体幹・四肢用 0.05%)の有効性と安全性を検討した.

方 法

4 件の多施設共同無作為化二重盲検試験において,顔面または頭皮,あるいは体幹または四肢に日光角化症を発症した患者を,インゲノールメブテート群とプラセボ(溶媒)群に無作為に割り付けた.投与は,顔面または頭皮の病変に対しては連続 3 日間,体幹または四肢の病変に対しては連続 2 日間,患部の近接領域 25 cm2 に 1 日 1 回,自己塗布により行った.57 日目に完全消失(主要転帰)を評価し,局所反応を定量的に評価した.

結 果

顔面と頭皮の病変を対象とした 2 試験のプール解析では,完全消失率はインゲノールメブテート群のほうがプラセボ群よりも高かった(42.2% 対 3.7%,P<0.001).局所反応は 4 日目にピークに達し,局所皮膚反応スケール(6 種類の反応についてそれぞれ 0~4 のスコアがつき,複合スコアは 0~24 となる.数値が大きいほど重度の反応であることを示す)での平均最大複合スコアは 9.1 であった.局所反応は 8 日目までに急速に低下し,その後持続的に低下して 29 日目までにベースラインスコアに近づいた.体幹と四肢の病変を対象とした 2 試験のプール解析でも,完全消失率はインゲノールメブテート群のほうがプラセボ群よりも高かった(34.1% 対 4.7%,P<0.001).局所皮膚反応は 3~8 日目にピークに達した後急速に低下し,29 日目までにベースラインスコアに近づいた.平均最大スコアは 6.8 であった.有害事象は一般に軽度~中等度であり,後遺症なく軽快した.

結 論

インゲノールメブテートゲルの 2~3 日間の局所塗布は,日光角化症の領域治療法として有効である.(LEO Pharma 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00742391,NCT00916006,NCT00915551,NCT00942604)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 1010 - 9. )