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March 22, 2012 Vol. 366 No. 12

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急性期脳梗塞に対するテネクテプラーゼとアルテプラーゼとの無作為化比較試験
A Randomized Trial of Tenecteplase versus Alteplase for Acute Ischemic Stroke

M. Parsons and Others

背景

アルテプラーゼの静脈内投与は,急性期脳梗塞に対し唯一承認されている治療法である.遺伝子組換え型の変異型組織プラスミノーゲン活性化因子であるテネクテプラーゼ(tenecteplase)は,アルテプラーゼに代わる血栓溶解薬である.

方 法

第 2B 相試験において,急性期脳梗塞患者 75 例を発症後 6 時間以内にアルテプラーゼ(0.9 mg/kg 体重)を投与する群と,テネクテプラーゼ(0.1 mg/kg または 0.25 mg/kg)を投与する群に無作為に割り付けた.血栓溶解療法から利益を受ける可能性が高い患者を選択できるように,適格基準は,ベースラインの CT 灌流画像で梗塞巣よりも 20%以上大きい灌流障害領域を認め,CT 血管造影で関連する血管閉塞を認めることとした.共通主要エンドポイントは,24 時間後に灌流強調 MRI 上で再灌流がみられた灌流障害領域の割合と,米国国立衛生研究所脳卒中スケール(National Institutes of Health Stroke Scale:NIHSS,42 ポイント尺度でスコアが高いほど神経障害が重度であることを示す)で評価した 24 時間後の臨床的改善の程度とした.

結 果

3 つの治療群に 25 例ずつ割り付けた.全例のベースラインの平均(±SD)NIHSS スコアは 14.4±2.6 であり,投与までの時間は 2.9±0.8 時間であった.2 つのテネクテプラーゼ群を合わせると,24 時間後の再灌流(P=0.004)および臨床的改善(P<0.001)はアルテプラーゼ群よりも多くみられた.頭蓋内出血またはその他の重篤な有害事象には,両群間で有意差は認められなかった.テネクテプラーゼの高用量群(0.25 mg/kg)では,90 日後の時点で重篤な障害がみられなかったこと(患者の 72%,これに対しアルテプラーゼ群 40%,P=0.02)を含むすべての有効性転帰に関して,テネクテプラーゼの低用量群およびアルテプラーゼ群よりも優れていた.

結 論

CT 灌流画像に基づいて選択した脳梗塞患者において,テネクテプラーゼはアルテプラーゼと比較して有意に優れた再灌流と臨床転帰に関連していた.(オーストラリア国立保健医療研究委員会から研究助成を受けた.Australia New Zealand Clinical Trials Registry 番号:ACTRN12608000466347)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 1099 - 107. )