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April 12, 2012 Vol. 366 No. 15

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アテローム血栓性イベントの二次予防におけるボラパクサール
Vorapaxar in the Secondary Prevention of Atherothrombotic Events

D.A. Morrow and Others

背景

トロンビンは,プロテアーゼ活性化受容体 PAR-1 を通じて血小板を強力に活性化する.ボラパクサール(vorapaxar)は,PAR-1 の拮抗によりトロンビンの細胞活動を選択的に阻害する新規の抗血小板薬である.

方 法

心筋梗塞,脳梗塞,または末梢動脈疾患の既往を有する患者 26,449 例を,ボラパクサール(2.5 mg/日)を投与する群とマッチさせたプラセボを投与する群に無作為に割り付け,中央値で 30 ヵ月間追跡した.主要有効性エンドポイントは,心血管系の原因による死亡,心筋梗塞,脳卒中の複合とした.2 年後,データ・安全性モニタリング委員会は,頭蓋内出血のリスクを理由に脳卒中の既往を有する患者に対する試験薬投与の中止を勧告した.

結 果

3 年の時点で,主要エンドポイントはボラパクサール群の 1,028 例(9.3%),プラセボ群の 1,176 例(10.5%)に発生していた(ボラパクサール群のハザード比 0.87,95%信頼区間 [CI] 0.80~0.94,P<0.001).心血管系の原因による死亡,心筋梗塞,脳卒中,血行再建を必要とした再発性虚血は,ボラパクサール群の 1,259 例(11.2%),プラセボ群の 1,417 例(12.4%)に発生していた(ハザード比 0.88,95% CI 0.82~0.95,P=0.001).中等度~重度の出血は,ボラパクサール群の 4.2%とプラセボ群の 2.5%でみられた(ハザード比 1.66,95% CI 1.43~1.93,P<0.001).ボラパクサール群では頭蓋内出血の発生率が高かった(1.0% 対 プラセボ群 0.5%,P<0.001).

結 論

ボラパクサールによる PAR-1 の阻害により,安定したアテローム性動脈硬化症に対し標準的治療を受けている患者において,心血管系の原因による死亡,虚血性イベントのリスクが減少した.しかし,頭蓋内出血をはじめとする中等度または重度の出血のリスクは増加した.(Merck 社から研究助成を受けた.TRA 2P-TIMI 50 ClinicalTrials.gov 番号:NCT00526474)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 1404 - 13. )