April 26, 2012 Vol. 366 No. 17
糖尿病を有する肥満患者に対する肥満手術と強化内科的治療との比較
Bariatric Surgery versus Intensive Medical Therapy in Obese Patients with Diabetes
P.R. Schauer and Others
観察研究から,2 型糖尿病患者では肥満手術後に改善がみられることが示されている.
無作為化非盲検単一施設試験において,コントロール不良の 2 型糖尿病を有する肥満患者 150 例を対象に,強化内科的治療単独を,内科的治療+ルーワイ胃バイパス術,および内科的治療+スリーブ状胃切除術と比較検討した.患者の平均(±SD)年齢は 49±8 歳であり,66%が女性であった.平均糖化ヘモグロビン値は 9.2±1.5%であった.主要エンドポイントは,治療後 12 ヵ月の時点で糖化ヘモグロビン値 6.0%以下を達成した患者の割合とした.
150 例のうち,93%が 12 ヵ月間の追跡調査を完了した.主要エンドポイントを達成した患者の割合は,内科的治療群では 12%(41 例中 5 例)であったのに対し,胃バイパス術群では 42%(50 例中 21 例,P=0.002),スリーブ状胃切除術群では 37%(49 例中 18 例,P=0.008)であった.血糖コントロールは 3 群すべてで改善し,平均糖化ヘモグロビン値は内科的治療群 7.5±1.8%,胃バイパス術群 6.4±0.9%(P<0.001),スリーブ状胃切除術群 6.6±1.0%(P=0.003)となった.体重減少は,胃バイパス術群(-29.4±9.0 kg)とスリーブ状胃切除術群(-25.1±8.5 kg)のほうが,内科的治療群(-5.4±8.0 kg)よりも大きかった(両比較について P<0.001).血糖,脂質,血圧を下げる薬物の使用は,両手術群で有意に減少したが,内科的治療単独群では増加した.恒常性モデル評価でのインスリン抵抗性(HOMA-IR)指数は肥満手術後に有意に改善した.4 例で再手術が行われた.死亡や生命に関わる合併症はみられなかった.
コントロール不良の 2 型糖尿病を有する肥満患者に対し,12 ヵ月間の内科的治療と肥満手術の併用により,内科的治療単独と比較して有意に多くの患者で血糖コントロールを改善することができた.これらの結果の持続性を検討するためにさらなる研究が必要と考えられる.(Ethicon Endo-Surgery 社ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00432809)