April 26, 2012 Vol. 366 No. 17
虫垂炎の疑いに対する低線量腹部 CT による評価
Low-Dose Abdominal CT for Evaluating Suspected Appendicitis
K. Kim and Others
コンピュータ断層撮影(CT)は,成人の急性虫垂炎の診断検査として広く用いられるようになった.小児と若年成人の場合は CT 被曝がとくに懸念される.虫垂炎が疑われる若年成人において,低線量腹部 CT と標準線量腹部 CT とで,その後の陰性(不要な)虫垂切除率を比較評価した.
単一施設単盲検非劣性試験において,虫垂炎が疑われる患者 891 例を低線量 CT 群(444 例)と標準線量 CT 群(447 例)に無作為に割り付けた.線量の中央値は,線積分線量(DLP)を用いると低線量群で 116 mGy・cm,標準線量群で 521 mGy・cm であった.主要エンドポイントは,すべての非偶発的な虫垂切除における陰性虫垂切除率とし,非劣性マージンを 5.5 パーセントポイントとした.副次的エンドポイントは,虫垂穿孔率,さらなる画像検査が必要となった虫垂炎の疑われる患者の割合などとした.
陰性虫垂切除率は,低線量 CT 群で 3.5%(172 例中 6 例),標準線量 CT 群で 3.2%(186 例中 6 例)であった(差 0.3 パーセントポイント,95%信頼区間 -3.8~4.6).2 群間で,虫垂穿孔率(低線量 CT 群 26.5%,標準線量 CT 群 23.3%,P=0.46)と,さらなる画像検査が必要となった患者の割合(それぞれ 3.2%,1.6%,P=0.09)に有意差は認められなかった.
虫垂炎が疑われる若年成人において,低線量 CT は,陰性虫垂切除率に関して,標準線量 CT に対して非劣性であった.(GE Healthcare 社 Medical Diagnostics ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00913380)