The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

June 28, 2012 Vol. 366 No. 26

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

日本人コホートにおける未破裂脳動脈瘤の自然歴
The Natural Course of Unruptured Cerebral Aneurysms in a Japanese Cohort

The UCAS Japan Investigators

背景

未破裂脳動脈瘤の自然歴は明らかにされていない.

方 法

2001 年 1 月~2004 年 4 月に日本で新たに同定された未破裂脳動脈瘤患者を登録した.動脈瘤の破裂,患者死亡に関する情報,定期的な追跡検査結果を記録した.20 歳以上(平均年齢 62.5 歳,女性 68%)で,最大径が 3 mm 以上の嚢状動脈瘤を有し,当初はわずかな障害しか呈していなかった 5,720 例を対象とした.

結 果

検討した 6,697 個の動脈瘤のうち,91%は偶然に見つけられたものであった.動脈瘤は大部分が中大脳動脈(36%)と内頸動脈(34%)に位置しており,動脈瘤の平均径(±標準偏差)は 5.7±3.6 mm であった.動脈瘤 11,660 個・年の追跡調査期間中に破裂は 111 例で確認され,年間破裂率は 0.95%(95%信頼区間 [CI] 0.79~1.15)であった.動脈瘤の大きさに伴い破裂のリスクは上昇した.直径 3~4 mm の動脈瘤を基準とする直径別のハザード比は,5~6 mm で 1.13(95% CI 0.58~2.22),7~9 mm で 3.35(95% CI 1.87~6.00),10~24 mm で 9.09(95% CI 5.25~15.74),25 mm 以上で 76.26(95% CI 32.76~177.54)であった.中大脳動脈の動脈瘤と比較すると,後交通動脈と前交通動脈の動脈瘤は破裂する可能性が高かった(ハザード比,それぞれ 1.90 [95% CI 1.12~3.21] と 2.02 [95% CI 1.13~3.58]).ブレブ(動脈瘤壁の不規則な突出)を伴う動脈瘤もまた,破裂する可能性が高かった(ハザード比 1.63,95% CI 1.08~2.48).

結 論

この研究では,未破裂脳動脈瘤の自然歴は,動脈瘤の直径,部位,形状により異なることが示された.(厚生労働省ほかから研究助成を受けた.日本未破裂脳動脈瘤悉皆調査 UMIN-CTR 番号:C000000418)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 2474 - 82. )