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February 9, 2012 Vol. 366 No. 6

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メディケアパート D の薬剤への支出における地域差の原因
Sources of Regional Variation in Medicare Part D Drug Spending

J.M. Donohue and Others

背景

メディケアパート D における処方薬への支出には地域差がみられるが,その原因は十分には解明されていない.そのような差は,健康状態,効果的治療の実施,あるいはより低価格のジェネリック医薬品よりもブランド医薬品が選択されていることを反映している可能性がある.

方 法

2008 年のメディケアデータを用いて,470 万人の受給者における処方薬の使用と支出について,全体,および以下の 3 つの薬剤カテゴリーに分けて分析した:アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬/アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB),3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル CoA(HMG-CoA)還元酵素阻害薬(スタチン),および選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)/セロトニン・ノルエピネフリン再取込み阻害薬(SNRI).病院の医療圏(HRR)間の 1 人あたりの支出における差を,年間の処方量と,処方あたりの費用に分けて分析した.調剤された全処方に対する,ブランド医薬品の比を算出した.すべての評価項目について,人口統計学的差,社会経済的差,健康状態の差で補正した.

結 果

補正後の 1 人あたりの薬剤費支出の平均は,HRR の最低五分位群で 2,413 ドル,最高五分位群で 3,008 ドルであった.この差の大部分(75.9%)は,処方あたりの費用(53 ドル 対 63 ドル)に起因していた.処方あたりの費用における地域差は,ACE 阻害薬/ARB に対する支出の差の 87.5%,スタチンに対する支出の差の 56.3%を説明したが,SSRI/SNRI については 36.1%にとどまった.総処方に対するブランド医薬品の比は,処方あたりの費用と強い相関を示し,HRR 間で,全体では 0.24~0.45,ACE 阻害薬/ARB では 0.24~0.55,スタチンでは 0.29~0.60,SSRI/SNRI では 0.15~0.51 であった.

結 論

メディケアパート D の支出にみられる地域差は,大部分が選択された薬剤の費用に起因しており,処方量によるものではなかった.パート D プランの給付内容を変更して一部の地域におけるブランド医薬品の使用を減少させれば,医療の質を低下させることなく費用を抑制できる可能性がある.(米国国立老化研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 530 - 8. )