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February 23, 2012 Vol. 366 No. 8

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大腸内視鏡的ポリープ切除と大腸癌死亡の長期的予防
Colonoscopic Polypectomy and Long-Term Prevention of Colorectal-Cancer Deaths

A.G. Zauber and Others

背景

全米ポリープ研究(National Polyp Study:NPS)では,大腸内視鏡による腺腫性ポリープの切除によって大腸癌が予防された.われわれは,研究の中で行われた内視鏡的ポリープ切除が大腸癌死亡率に及ぼす長期的影響を検討した.

方 法

対象は,初回大腸内視鏡検査のため NPS 参加臨床施設に前向きに紹介され(1980~90 年),ポリープ(腺腫,非腺腫)が確認された患者全例とした.国民死亡記録(National Death Index)を用いて死亡を同定し,死因を明らかにした.追跡期間は最長で 23 年であった.腺腫が切除された患者における大腸癌死亡率を,一般集団における大腸癌発生率に基づく期待死亡率(サーベイランス・疫学・最終結果 [SEER] プログラムより推定),および非腺腫性ポリープを有する患者(内部対照群)で観察された大腸癌死亡率と比較した.

結 果

研究への参加期間中に腺腫が切除された 2,602 例のうち,中央値 15.8 年後に,1,246 例が何らかの原因により死亡し,12 例が大腸癌により死亡していた.一般集団における期待大腸癌死亡数は 25.4 と推定されたことから,内視鏡的ポリープ切除群における発生率に基づく標準化死亡比は 0.47(95%信頼区間 [CI] 0.26~0.80)となり,死亡率の 53%低下が示唆された.ポリープ切除後の 10 年間は,腺腫を有する患者と非腺腫性ポリープを有する患者とで大腸癌死亡率は同程度であった(相対リスク 1.2,95% CI 0.1~10.6).

結 論

これらの結果から,腺腫性ポリープの内視鏡的切除により大腸癌死亡が予防されるという仮説が支持される.(米国国立がん研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 687 - 96. )