The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

March 1, 2012 Vol. 366 No. 9

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

骨髄線維症に対するルキソリチニブによる JAK 阻害と利用可能な最良の治療との比較
JAK Inhibition with Ruxolitinib versus Best Available Therapy for Myelofibrosis

C. Harrison and Others

背景

骨髄線維症の治療選択肢は限られている.骨髄線維症患者において,Janus キナーゼ(JAK)1 および 2 の強力な選択的阻害薬であるルキソリチニブ(ruxolitinib)の有効性と安全性を,利用可能な最良の治療と比較評価した.

方 法

中間-2 リスクまたは高リスクの原発性骨髄線維症,真性多血症に続発した骨髄線維症,本態性血小板血症に続発した骨髄線維症のいずれかを有する患者 219 例を,ルキソリチニブ経口投与群と利用可能な最良の治療群に割り付けた.主要エンドポイントは 48 週の時点で脾容積が 35%以上減少した患者の割合とし,主な副次的エンドポイントは 24 週の時点で脾容積が 35%以上減少した患者の割合とした.脾容積は MRI または CT により評価した.

結 果

48 週の時点では,ルキソリチニブ群の 28%で脾容積が 35%以上減少したのに対し,利用可能な最良の治療群では 0%であった(P<0.001).24 週の時点ではそれぞれ 32%,0%であった(P<0.001).48 週の時点で,触知される脾臓の長さの平均は,ルキソリチニブ群で 56%減少したが,利用可能な最良の治療群では 4%増加した.ルキソリチニブ群の 80%が追跡期間中央値 12 ヵ月の時点で奏効を維持しており,奏効期間中央値は得られなかった.ルキソリチニブ群では,総合的 QOL 指標が改善し,骨髄線維症に関連する症状が軽減した.両群でグレード 3 以上の血液異常として頻度が高かったのは血小板減少症と貧血であり,投与量の減量,治療の中断,輸血によって管理された.各群 1 例が血小板減少症のために治療を中止したが,貧血のために中止した例はなかった.血液以外の有害事象はまれであり,ほとんどがグレード 1 または 2 であった.利用可能な最良の治療群では急性骨髄性白血病が 2 例報告された.

結 論

持続的ルキソリチニブ療法は,利用可能な最良の治療法と比較して,顕著かつ持続的な脾腫の縮小と関連症状の軽減,役割機能と QOL の改善,わずかな毒性作用に関連した.全生存に対する影響はまだ示されていない.(Novartis Pharmaceuticals 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00934544)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 787 - 98. )