The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

March 1, 2012 Vol. 366 No. 9

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

骨髄線維症に対するルキソリチニブの二重盲検プラセボ対照試験
A Double-Blind, Placebo-Controlled Trial of Ruxolitinib for Myelofibrosis

S. Verstovsek and Others

背景

Janus キナーゼ(JAK)1 および 2 の選択的阻害薬であるルキソリチニブ(ruxolitinib)は,骨髄線維症に対して,臨床的に重要な活性をもつ.

方 法

二重盲検試験において,中間-2 リスクまたは高リスクの骨髄線維症を有する患者を,ルキソリチニブ 1 日 2 回経口投与群(155 例)またはプラセボ投与群(154 例)に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,24 週の時点での MRI による評価で脾容積が 35%以上減少した患者の割合とした.副次的エンドポイントは,効果の持続性,症状の負荷(症状合計スコア [total symptom score] により評価)の変化,全生存などとした.

結 果

ルキソリチニブ群では 41.9%が主要エンドポイントを達成したのに対し,プラセボ群では 0.7%であった(P<0.001).ルキソリチニブ群では脾容積の減少が維持され,奏効例の 67.0%が 48 週間以上奏効を維持した.ルキソリチニブ群では 45.9%が 24 週の時点での症状合計スコアに 50%以上の改善が認められたのに対し,プラセボ群では 5.3%であった(P<0.001).ルキソリチニブ群では 13 例が死亡したのに対し,プラセボ群では 24 例であった(ハザード比 0.50,95%信頼区間 0.25~0.98,P=0.04).有害事象による試験薬中止の割合は,ルキソリチニブ群 11.0%,プラセボ群 10.6%であった.ルキソリチニブ群では,貧血と血小板減少症がもっとも頻度の高い有害事象であったが,薬剤の中止にいたることはまれであった(各事象 1 例).2 例が急性骨髄性白血病に移行したが,いずれもルキソリチニブ群の患者であった.

結 論

骨髄線維症患者において,ルキソリチニブは,プラセボと比較して脾臓を縮小させ,骨髄線維症に関連する消耗性の症状を改善し,全生存率を改善することによって,有意な臨床的利益をもたらした.これらの利益には,治療期間早期における貧血と血小板減少症の頻度増加という代償を伴った.(Incyte 社から研究助成を受けた.COMFORT-I ClinicalTrials.gov 番号:NCT00952289)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 799 - 807. )