March 15, 2012 Vol. 366 No. 11
11 年の追跡調査による前立腺癌死亡率
Prostate-Cancer Mortality at 11 Years of Follow-up
F.H. Schröder and Others
前立腺特異抗原(PSA)検査が前立腺癌死亡率に及ぼす影響を検討した複数の試験では,矛盾する結果が示されている.欧州前立腺癌スクリーニング無作為化試験(European Randomized Study of Screening for Prostate Cancer)において,さらに 2 年間の追跡調査による最新の前立腺癌死亡率を報告する.
対象は組入れ時に 50~74 歳であった男性 182,160 例で,事前に規定した 55~69 歳の中核年齢群は 162,388 例であった.この試験は欧州 8 ヵ国で行われた.スクリーニング群に無作為に割り付けられた男性には PSA 検査に基づくスクリーニングを提供し,対照群の男性にはそのようなスクリーニングを提供しなかった.主要転帰は前立腺癌死亡率とした.
中核年齢群の追跡調査中央値 11 年の時点で,スクリーニング群における前立腺癌死亡リスクの相対的減少は 21%(率比 0.79,95%信頼区間 [CI] 0.68~0.91,P=0.001)であり,非遵守について補正すると 29%であった.スクリーニング群における死亡数の絶対的減少は 1,000 人年あたり 0.10 例で,無作為化された男性 1,000 例あたり 1.07 例であった.追跡調査 10 年目・11 年目における前立腺癌死亡率比は 0.62(95% CI 0.45~0.85,P=0.003)であった.追跡調査 11 年の時点での前立腺癌死亡を 1 例予防するには,1,055 例にスクリーニングへの参加を呼びかけ,前立腺癌 37 個を発見する必要があると考えられる.全死因死亡率に群間で有意差は認められなかった.
さらに 2 年間の追跡調査の解析により,PSA 検査に基づくスクリーニングを行うことで前立腺癌死亡は有意に減少するが,全死因死亡への影響はないという以前の結果が裏付けられた.(Current Controlled Trials 番号:ISRCTN49127736)