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September 20, 2012 Vol. 367 No. 12

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研究資金提供の開示を医師がどのように解釈するかに関する無作為化研究
A Randomized Study of How Physicians Interpret Research Funding Disclosures

A.S. Kesselheim and Others

背景

臨床試験への資金提供が試験結果の解釈に及ぼす影響については,ほとんど解明されていない.われわれは,そのような資金提供が,方法の厳密性が高い試験・中程度の試験・低い試験に対する医師の反応にどのような影響を及ぼすかを検討した.

方 法

3 つの仮想薬剤の臨床試験についての抄録を作成し,(専門医師会認定の)内科専門医 503 人に提示した.これらの試験の方法の厳密性は高・中・低の 3 段階にし,各報告には,製薬会社からの資金提供・NIH からの資金提供・資金提供なしの 3 通りの開示のいずれかを含めた.検討する両因子(厳密性,資金提供)について,それぞれ選択しうる 3 つのうち 1 つを無作為に選択し,抄録に記載した.その後,医師の試験の厳密性に対する印象,結果に対する信頼度,その薬剤を処方する意向を評価する質問を行った.

結 果

回答者 269 人(回答率 53.5%)が,試験の厳密性のレベルを正確に認識した.厳密性が低い試験で検討された薬剤については,厳密性が中程度の試験で検討された薬剤よりも処方したいという意向が低く(オッズ比 0.64;95%信頼区間 [CI] 0.46~0.89;P=0.008),厳密性が高い試験で検討された薬剤については,厳密性が中程度の試験で検討された薬剤よりも処方したいという意向が高かった(オッズ比 3.07;95% CI 2.18~4.32;P<0.001).企業からの資金提供が開示されている場合には,資金提供の開示がない場合と比較して,試験の厳密性の低下(オッズ比 0.63;95% CI 0.46~0.87;P=0.006),結果に対する信頼度の低下(オッズ比 0.71;95% CI 0.51~0.98;P=0.04),仮想薬剤を処方したいという意向の低下(オッズ比 0.68;95% CI 0.49~0.94;P=0.02)につながった.企業からの資金提供を受けた試験で検討された薬剤を処方したいという意向は,NIH からの資金提供を受けた試験で検討された薬剤を処方したいという意向の半分であった(オッズ比 0.52;95% CI 0.37~0.71;P<0.001).これらの影響は,方法の厳密性の 3 段階すべてで一貫していた.

結 論

医師は,厳密性の異なる試験を識別するが,企業からの資金提供は方法の質の認識に負の影響を及ぼし,試験結果を信じそれに従って行動しようとする意向が,試験の質とは独立に低下する.これらの影響は,臨床研究を実際の診療に移行させるのに影響を及ぼす可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 367 : 1119 - 27. )