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October 4, 2012 Vol. 367 No. 14

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血行再建を施行しない急性冠症候群患者に対するプラスグレルとクロピドグレルとの比較
Prasugrel versus Clopidogrel for Acute Coronary Syndromes without Revascularization

M.T. Roe and Others

背景

不安定狭心症または ST 上昇を伴わない心筋梗塞を有し,血行再建を施行しない患者において,血小板凝集抑制の強化がもたらす効果は明らかにされていない.

方 法

二重盲検無作為化試験において,アスピリンを投与されている 75 歳未満の患者 7,243 例を対象とした主要解析で,最長 30 ヵ月間投与するプラスグレル(prasugrel)(10 mg/日)とクロピドグレル(75 mg/日)を比較評価した.75 歳以上の患者 2,083 例を対象とした二次解析では,プラスグレル 5 mg とクロピドグレル 75 mg を比較評価した.

結 果

追跡期間中央値 17 ヵ月の時点で,75 歳未満の患者における心血管系死亡,心筋梗塞,脳卒中のいずれかとした主要エンドポイントは,プラスグレル群の 13.9%とクロピドグレル群の 16.0%に発生した(プラスグレル群のハザード比 0.91,95%信頼区間 [CI] 0.79~1.05,P=0.21).集団全体でも同様の結果が認められた.虚血性イベント(主要エンドポイントの全要素)の複数回の再発に関する事前に規定した解析から,75 歳未満の患者におけるプラスグレルによるリスクの低下が示唆された(ハザード比 0.85,95% CI 0.72~1.00,P=0.04).重度の出血と頭蓋内出血の発生率は,全年齢層において,2 群で同程度であった.非出血性の重篤な有害事象の頻度に群間で有意差は認められなかったが,例外として,心不全の頻度はクロピドグレル群のほうが高かった.

結 論

不安定狭心症または ST 上昇を伴わない心筋梗塞の患者において,プラスグレルにより,クロピドグレルと比較して,主要エンドポイントの頻度は有意に低下せず,同程度の出血リスクが認められた.(Eli Lilly 社,Daiichi Sankyo 社から研究助成を受けた.TRILOGY ACS ClinicalTrials.gov 番号:NCT00699998)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 367 : 1297 - 309. )