October 18, 2012 Vol. 367 No. 16
非血縁ドナーからの末梢血幹細胞移植と骨髄移植との比較
Peripheral-Blood Stem Cells versus Bone Marrow from Unrelated Donors
C. Anasetti and Others
無作為化試験によって,HLA 一致同胞からのフィルグラスチム動員末梢血幹細胞の移植では,骨髄の移植と比較して,生着が促進されるが,急性および慢性の移植片対宿主病(GVHD)のリスクが上昇することが示されている.また,一部の研究では,末梢血幹細胞の移植は,高リスクの白血病を有するレシピエントでの再発率の低下と生存率の改善に関連することが示されている.
第 3 相多施設共同無作為化試験において,非血縁ドナーからの末梢血幹細胞移植と骨髄移植とで,intention-to-treat 解析により 2 年生存率を比較した.2004 年 3 月~2009 年 9 月に,48 施設で患者 551 例を登録した.移植施設と疾患リスクに基づき患者を層別化し,末梢血幹細胞移植群と骨髄移植群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.生存患者の追跡期間中央値は 36 ヵ月(四分位範囲 30~37)であった.
2 年の時点での全生存率は,末梢血群で 51%(95%信頼区間 [CI] 45~57)であったのに対し,骨髄群では 46%(95% CI 40~52)であり(P=0.29),絶対差は 5 パーセントポイント(95% CI -3~14)であった.生着不全の全発生率は,末梢血群で 3%(95% CI 1~5)であったのに対し,骨髄群では 9%(95% CI 6~13)であった(P=0.002).2 年の時点での慢性 GVHD 発生率は,末梢血群で 53%(95% CI 45~61)であったのに対し,骨髄群では 41%(95% CI 34~48)であった(P=0.01).急性 GVHD 発生率または再発率に群間で有意差は認められなかった.
非血縁ドナーからの末梢血幹細胞移植と骨髄移植とでは,生存率に有意差は検出されなかった.副次的エンドポイントに関する探索的解析によって,末梢血幹細胞は生着不全のリスクを低下させる可能性がある一方,骨髄は慢性 GVHD のリスクを低下させる可能性があることが示唆された.(米国国立心臓・肺・血液研究所-米国国立がん研究所ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00075816)