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November 8, 2012 Vol. 367 No. 19

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スタチンの使用と癌関連死亡率の低下
Statin Use and Reduced Cancer-Related Mortality

S.F. Nielsen, B.G. Nordestgaard, and S.E. Bojesen

背景

コレステロールの利用量を減らすことにより,癌の増殖や転移に必要な細胞増殖が制限される可能性がある.われわれは,癌と診断される前に開始されたスタチンの使用は,癌関連死亡率の低下と関連するという仮説を検証した.

方 法

デンマークの住民全体で,1995~2007 年に癌と診断された患者を 2009 年 12 月 31 日まで追跡し,死亡率を評価した.40 歳以上の患者では,18,721 例が癌と診断される前からスタチンを定期的に使用しており,277,204 例にはスタチンの使用歴がなかった.

結 果

スタチン使用者の未使用者に対する多変量補正ハザード比は,全死因死亡について 0.85(95%信頼区間 [CI] 0.83~0.87),癌死亡について 0.85(95% CI 0.82~0.87)であった.スタチンの 1 日規定量(1 日あたりの推定平均維持量)別の全死因死亡の補正ハザード比は,1 日量が規定量の 0.01~0.75 倍であった患者では 0.82(95% CI 0.81~0.85),0.76~1.50 倍であった患者では 0.87(95% CI 0.83~0.89),1.50 倍を超える患者では 0.87(95% CI 0.81~0.91)であり,癌死亡のハザード比はそれぞれ 0.83(95% CI 0.81~0.86),0.87(95% CI 0.83~0.91),0.87(95% CI 0.81~0.92)であった.13 種類の癌別にみても,スタチン使用者の癌関連死亡率はスタチン未使用者と比較して低下していた.

結 論

癌患者におけるスタチン使用は,癌関連死亡率の低下と関連している.このことから,癌患者を対象にスタチンを検討する試験が必要であることが示唆される.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 367 : 1792 - 802. )