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November 29, 2012 Vol. 367 No. 22

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冠動脈ステント留置術のためのベッドサイドモニタリングによる抗血小板療法の調節
Bedside Monitoring to Adjust Antiplatelet Therapy for Coronary Stenting

J.-P. Collet and Others

背景

経口抗血小板療法に対する患者の反応は変動しやすい.ベッドサイドモニタリングは,治療の個別化によって,冠動脈ステント留置後の転帰を改善する機会を提供する.

方 法

38 施設で,冠動脈ステント留置術が予定されていた患者 2,440 例を,血小板機能のモニタリングを行い,抗血小板療法に対する反応が不良な例の薬剤を調節する群と,モニタリングと薬剤調節は行わず,標準的治療戦略を用いる群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,ステント留置後 1 年での死亡,心筋梗塞,ステント血栓症,脳卒中,緊急血行再建術の複合とした.モニタリング群の患者には,VerifyNow を用いた P2Y12 とアスピリンのポイントオブケア検査を,ステント留置前はカテーテル検査室で,留置から 2~4 週後には外来診察室で行った.

結 果

モニタリング群では,クロピドグレル使用例,アスピリン使用例(それぞれ患者の 34.5%,7.6%)で血小板反応性が高かった場合,留置術中に,糖蛋白 IIb/IIIa 阻害薬とともにクロピドグレル,プラスグレル(prasugrel),またはアスピリンが追加ボーラス投与された.主要エンドポイントは,モニタリング群の 34.6%に発生したのに対し,標準治療群では 31.1%に発生した(ハザード比 1.13,95%信頼区間 [CI] 0.98~1.29,P=0.10).主要副次的エンドポイントであるステント血栓症または緊急血行再建術は,モニタリング群の 4.9%と標準治療群の 4.6%に発生した(ハザード比 1.06,95% CI 0.74~1.52,P=0.77).重大な出血イベントの発生率には 2 群間で有意差は認められなかった.

結 論

この研究では,冠動脈ステント留置術のための血小板機能モニタリングと治療の調節によって,モニタリングを行わない標準抗血小板療法と比較して,臨床転帰に有意な改善は認められなかった.(心血管試験イニシアチブ・組織的ネットワーク同盟ほかから研究助成を受けた.ARCTIC ClinicalTrials.gov 番号:NCT00827411)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 367 : 2100 - 9. )