The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

December 27, 2012 Vol. 367 No. 26

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

透析を受けている患者の心血管疾患に対するシナカルセトの効果
Effect of Cinacalcet on Cardiovascular Disease in Patients Undergoing Dialysis

The EVOLVE Trial Investigators

背景

慢性腎臓病患者における二次性副甲状腺機能亢進症をはじめとするミネラル代謝異常は,骨外性(血管を含む)の石灰化に寄与すると考えられている.カルシウム受容体作動薬シナカルセトによる治療は,そのような患者の死亡や非致死的心血管イベントのリスクを低下させるという仮説が立てられている.

方 法

この臨床試験では,血液透析を受けている中等度~重度の二次性副甲状腺機能亢進症患者 3,883 例(インタクト副甲状腺ホルモン値の中央値 693 pg/mL [10~90 パーセンタイル,363~1,694 pg/mL])を,シナカルセト群とプラセボ群に無作為に割り付けた.すべての患者は,リン吸着薬,ビタミン D ステロールのいずれかまたは両方を含む従来の治療の適応があった.患者を最長 64 ヵ月間追跡した.主要複合評価項目は,死亡,心筋梗塞,不安定狭心症による入院,心不全,末梢血管イベントのいずれかが発生するまでの期間とした.主要解析は intention-to-treat の原則に基づいて行った.

結 果

試験薬曝露期間の中央値は,シナカルセト群では 21.2 ヵ月であったのに対し,プラセボ群では 17.5 ヵ月であった.主要複合評価項目には,シナカルセト群の 1,948 例中 938 例(48.2%)と,プラセボ群の 1,935 例中 952 例(49.2%)が到達した(シナカルセト群のプラセボ群に対する相対ハザード 0.93,95%信頼区間 0.85~1.02,P=0.11).低カルシウム血症と消化管有害事象の発現率は,シナカルセトの投与を受けた患者のほうが有意に高かった.

結 論

未補正の intention-to-treat 解析では,シナカルセトにより,透析を受けている中等度~重度の二次性副甲状腺機能亢進症患者の死亡または主要心血管イベントのリスクは有意には低下しなかった.(Amgen 社から研究助成を受けた.EVOLVE ClinicalTrials.gov 番号:NCT00345839)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 367 : 2482 - 94. )