August 23, 2012 Vol. 367 No. 8
細胞診では確定されない良性甲状腺結節の術前 診断
Preoperative Diagnosis of Benign Thyroid Nodules with Indeterminate Cytology
E.K. Alexander and Others
穿刺吸引によって評価される甲状腺結節の約 15~30%は,良性か悪性かがはっきりしない.細胞診では確定されない結節を有する患者は,診断的手術のために紹介されることが多いが,これらの結節のほとんどは良性と判明する.167 個の遺伝子の発現を測定する新たな診断検査が,術前のリスク評価の向上に有望とされている.
臨床施設 49 ヵ所,患者 3,789 例,評価を必要とする 1 cm 以上の甲状腺結節から採取された穿刺吸引検体 4,812 個を対象に,19 ヵ月間の前向き多施設共同検証研究を行った.細胞診では確定されない吸引検体 577 個が得られ,うち 413 個では,切除された病変から病理組織学的検体が得られた.中央による盲検下での病理組織学的検討結果を参照基準とした.今回の解析では,組入れ基準を満たした不確定結節 265 個の検査に遺伝子発現分類法を用いて,その精度を評価した.
不確定結節 265 個のうち,85 個が悪性であった.遺伝子発現分類法によって,この 85 個のうち 78 個が悪性疑いと正確に同定され(感度 92%,95%信頼区間 [CI] 84~97),特異度は 52%(95% CI 44~59)であった.「臨床的意義不明の異型(または濾胞性病変)」,「濾胞性腫瘍または濾胞性腫瘍が疑われる病変」,「疑わしい細胞学的所見」に対する陰性適中率は,それぞれ 95%,94%,85%であった.偽陰性であった吸引検体 7 個の解析により,6 個で甲状腺濾胞細胞の不足が明らかになり,結節の検体採取が不十分であったことが示唆された.
今回のデータから,穿刺吸引による細胞診では確定されず,遺伝子発現分類法では良性の甲状腺結節を有する多くの患者には,より保守的なアプローチを検討することが勧められる.(Veracyte 社から研究助成を受けた.)