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August 23, 2012 Vol. 367 No. 8

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タイと台湾における成人発症免疫不全症
Adult-Onset Immunodeficiency in Thailand and Taiwan

S.K. Browne and Others

背景

抗インターフェロン-γ 自己抗体は重症の播種性日和見感染に関連しているが,その重要性と有病率は不明である.

方 法

タイと台湾の施設から,次の 5 群 203 例を登録した:播種性で,増殖速度を問わない,非結核性抗酸菌感染患者 52 例(第 1 群);非結核性抗酸菌感染の有無を問わない,他の日和見感染患者 45 例(第 2 群);播種性結核患者 9 例(第 3 群);肺結核患者 49 例(第 4 群);健常対照 48 例(第 5 群).病歴を記録し,血液検体を採取した.

結 果

第 1 群と第 2 群の患者は,CD4+T リンパ球数が第 4 群と第 5 群の患者と同程度であり,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)には感染していなかった.第 1 群と第 2 群の患者から採取した洗浄細胞は,サイトカイン産生に異常はなく,サイトカイン刺激に対する反応が認められた.これに対して,これらの患者から採取した血漿は,正常細胞のインターフェロン-γ の活性を阻害した.高力価の抗インターフェロン-γ 自己抗体が,第 1 群の 81%,第 2 群の 96%,第 3 群の 11%,第 4 群の 2%,対照群(第 5 群)の 2%で検出された.他の 40 種類の抗サイトカイン自己抗体を測定した.クリプトコッカス性髄膜炎の 1 例は,顆粒球マクロファージコロニー刺激因子のみに対する自己抗体を有していた.他の抗サイトカイン自己抗体や遺伝的欠損は感染症とは関連していなかった.家族内集積はなかった.

結 論

抗インターフェロン-γ 中和自己抗体は,アジア人成人の,種々の日和見感染患者の 88%に検出され,進行した HIV 感染症と似た,成人発症免疫不全症と関連していた.(米国国立アレルギー・感染症研究所および国立歯・頭蓋顔面研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00814827)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 367 : 725 - 34. )