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March 14, 2013 Vol. 368 No. 11

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心肺蘇生への家族の立ち会い
Family Presence during Cardiopulmonary Resuscitation

P. Jabre and Others

背景

心肺蘇生(CPR)への家族の立ち会いが,家族自身,および医療チームに及ぼす影響については,意見が分かれている.

方 法

心停止を起こし,15 の病院到着前救急医療班により CPR を受けた患者の家族 570 人を登録した.医療班は,家族に CPR に立ち会う機会を組織的に提供する群(介入群)と,家族の立ち会いに関して標準的な方法に従う群(対照群)のいずれかに無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,90 日目に心的外傷後ストレス障害(PTSD)関連症状を有する家族の割合とした.副次的エンドポイントは,不安・抑うつ症状,家族の立ち会いが蘇生努力に及ぼす影響,医療チームの満足,法医学的な損害賠償請求の発生などとした.

結 果

介入群では家族 266 人中 211 人(79%)が CPR に立ち会ったのに対し,対照群では 304 人中 131 人(43%)が立ち会った.intention-to-treat 解析では,PTSD 関連症状の頻度は,対照群のほうが介入群よりも有意に高く(補正オッズ比 1.7,95%信頼区間 [CI] 1.2~2.5,P=0.004),CPR に立ち会わなかった家族のほうが立ち会った家族よりも有意に高かった(補正オッズ比 1.6,95% CI 1.1~2.5,P=0.02).CPR に立ち会わなかった家族では,不安と抑うつの症状が CPR に立ち会った家族よりも高頻度に認められた.家族の立ち会いのもとで行われた CPR は,蘇生の特性,患者の生存,医療チームの心理的ストレスレベルに影響を与えず,法医学的な損害賠償請求は発生しなかった.

結 論

CPR への家族の立ち会いは,心理学的変数における良好な結果に関連し,蘇生努力の妨げになることも,医療チームのストレスが増大することもなく,法医学的な対立をもたらすこともなかった.(フランス保健省臨床研究病院プログラム 2008 から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT01009606)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 368 : 1008 - 18. )