March 14, 2013 Vol. 368 No. 11
高齢の院内心停止生存者における長期転帰
Long-Term Outcomes in Elderly Survivors of In-Hospital Cardiac Arrest
P.S. Chan and Others
院内心停止を起こした高齢の生存者の長期転帰は,ほとんど明らかになっていない.われわれは,院内心停止生存者における長期の生存率と再入院率を求め,それらが人口統計学的特性や退院時の神経学的状態によって異なるかどうかを検討した.
米国内の入院患者における心停止登録のデータをメディケアのファイルとリンクし,2000~08 年に院内心停止を起こし,生存退院した 65 歳以上の成人 6,972 例を同定した.1 年後の生存と再入院の予測因子を検討した.
退院から 1 年の時点で,患者の 58.5%が生存しており,34.4%は再入院していなかった.リスク補正後の 1 年生存率は,高齢の患者のほうが若年の患者よりも低く(65~74 歳で 63.7%,75~84 歳で 58.6%,85 歳以上で 49.7%,P<0.001),男性のほうが女性よりも低く(58.6% 対 60.9%,P=0.03),黒人患者のほうが白人患者よりも低かった(52.5% 対 60.4%,P=0.001).リスク補正後の 1 年生存率は,退院時に神経障害が軽度またはなかった患者で 72.8%であったのに対し,中等度の神経障害があった患者では 61.1%,重度の神経障害があった患者では 42.2%,昏睡または植物状態にあった患者では 10.2%であった(すべての比較について P<0.001).さらに,1 年再入院率は,黒人患者,女性患者,顕著な神経障害があった患者でより高かった(すべての比較について P<0.05).生存率と再入院率にみられたこれらの差は,2 年の時点でも持続した.3 年の時点で,院内心停止生存者の生存率は,心不全により入院し生存退院した患者の生存率と同程度であった(それぞれ 43.5%と 44.9%,リスク比 0.98,95%信頼区間 0.95~1.02,P=0.35).
高齢の院内心停止生存者において,60%近くが 1 年の時点で生存し,3 年の時点での生存率は心不全患者と同程度であった.生存率と再入院率は,患者の人口統計学的特性と退院時の神経学的状態によって異なった.(米国心臓協会,米国国立心臓・肺・血液研究所から研究助成を受けた.)