March 21, 2013 Vol. 368 No. 12
原因不明の塞栓症患者の卵円孔開存に対する経皮的閉鎖術
Percutaneous Closure of Patent Foramen Ovale in Cryptogenic Embolism
B. Meier and Others
卵円孔開存患者の原因不明の塞栓症の二次予防における選択肢は,抗血栓薬の投与か,経皮的閉鎖術である.われわれは,閉鎖術が薬物療法よりも優れているかどうかを検討した.
欧州,カナダ,ブラジル,オーストラリアの 29 施設において,多施設共同優位性試験を行った.エンドポイントの評価者には試験群の割付けを知らせなかった.卵円孔開存を有し,脳梗塞,一過性脳虚血発作(TIA),末梢血栓塞栓イベントのいずれかを起こした患者を,Amplatzer PFO Occluder(卵円孔閉鎖栓)を用いて閉鎖術を行う群と,薬物療法を行う群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,死亡,非致死的脳梗塞,TIA,末梢動脈塞栓症の複合とした.解析には intention-to-treat 集団のデータを用いた.
平均追跡期間は,閉鎖術群で 4.1 年,薬物療法群で 4.0 年であった.主要エンドポイントは,閉鎖術群 204 例中 7 例(3.4%)と薬物療法群 210 例中 11 例(5.2%)に発生した(薬物療法に対する閉鎖術のハザード比 0.63,95%信頼区間 [CI] 0.24~1.62,P=0.34).非致死的脳梗塞は閉鎖術群の 1 例(0.5%)と薬物療法群の 5 例(2.4%)に発生し(ハザード比 0.20,95% CI 0.02~1.72,P=0.14),TIA はそれぞれ 5 例(2.5%)と 7 例(3.3%)に発生した(ハザード比 0.71,95% CI 0.23~2.24,P=0.56).
原因不明の塞栓症の二次予防として,卵円孔開存に対して閉鎖術を行っても,薬物療法と比較して,塞栓イベント再発や死亡のリスクは有意に低下しなかった.(St. Jude Medical 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00166257)