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March 28, 2013 Vol. 368 No. 13

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転移性乳癌のモニタリングのための循環腫瘍 DNA の解析
Analysis of Circulating Tumor DNA to Monitor Metastatic Breast Cancer

S.-J. Dawson and Others

背景

転移性乳癌の管理では,治療効果を判定するために腫瘍量のモニタリングが必要であり,バイオマーカーの改善が求められる.癌抗原 15-3(CA 15-3)や循環腫瘍細胞などのバイオマーカーは広く研究されているが,腫瘍に特異的な変化を有する循環無細胞 DNA(循環腫瘍 DNA)に関する検討は十分には行われておらず,乳癌の他の循環バイオマーカーとも比較検討されていない.

方 法

転移性乳癌に対して全身療法を受けている女性 30 例の腫瘍の放射線画像を,循環腫瘍 DNA,CA 15-3,循環腫瘍細胞のアッセイと比較した.体細胞性ゲノム変化を同定するために標的遺伝子または全ゲノムの配列決定を行い,連続採取した血漿検体中の循環腫瘍 DNA を定量するための個別化アッセイをデザインした.CA 15-3 値と循環腫瘍細胞数は同時点で測定した.

結 果

体細胞性ゲノム変化が同定された 30 例のうち,29 例(97%)で循環腫瘍 DNA が検出された.CA 15-3 は 27 例中 21 例(78%)で,循環腫瘍細胞は 30 例中 26 例(87%)で検出された.循環腫瘍 DNA 量は,CA 15-3 や循環腫瘍細胞と比較して,より大きな動的範囲をとり,腫瘍量の変化とより大きく関連していた.検査した項目のうち,循環腫瘍 DNA は,19 例中 10 例(53%)の治療効果をもっとも早く示した.

結 論

この概念検証(proof-of-concept)研究において,循環腫瘍 DNA は,転移性乳癌のバイオマーカーとして,本質的な特異性を有し,感度が高く,有用であることが示された.(英国がん研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 368 : 1199 - 209. )