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April 11, 2013 Vol. 368 No. 15

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ライノウイルス性喘鳴性疾患と小児喘息の遺伝的リスク
Rhinovirus Wheezing Illness and Genetic Risk of Childhood-Onset Asthma

M. Çalışkan and Others

背景

17q21 遺伝子座の遺伝的変異とウイルス性の呼吸器喘鳴性疾患は,どちらも喘息の発症に関連している.この研究の目的は,小児期における喘息の原因(Childhood Origins of Asthma:COAST)の出生コホートと,コペンハーゲン小児喘息前向き研究(Copenhagen Prospective Study on Asthma in Childhood:COPSAC)の出生コホートを用いて,これら 2 つの因子が喘息のリスクに及ぼす影響を検討することである.

方 法

17q21 遺伝子座の遺伝子型に,喘息,およびヒトライノウイルス(HRV)性・RS ウイルス(RSV)性喘鳴性疾患との関連が認められるかどうかを検討し,喘息リスクについて,17q21 遺伝子型と HRV 性・RSV 性喘鳴性疾患との交互作用を検討した.最後に,HRV で刺激した末梢血単核細胞(PBMC)と刺激しない PBMC において,17q21 遺伝子の遺伝子型特異的発現を検討した.

結 果

17q21 変異は,幼少期の HRV 性喘鳴性疾患に関連したが,RSV 性喘鳴性疾患とは関連しなかった.17q21 変異と喘息との関連は,HRV 性喘鳴性疾患の既往を有する児に限定され,喘息リスクについて有意な交互作用が認められた.さらに,HRV 刺激 PBMC では,非刺激 PBMC と比較して ORMDL3GSDMB の発現量が有意に増加した.これらの遺伝子の発現には,HRV 刺激 PBMC でも非刺激 PBMC でも 17q21 変異との関連が認められたが,HRV への曝露に伴う発現量の増加は遺伝子型特異的なものではなかった.

結 論

17q21 遺伝子座の変異は,HRV 性喘鳴性疾患の既往を有する小児の喘息に関連し,この遺伝子座における 2 つの遺伝子の発現にも関連した.両遺伝子の発現量は HRV 刺激に反応して増加したが,その相対的増加は 17q21 遺伝子型とは関連していなかった.(米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 368 : 1398 - 407. )