April 25, 2013 Vol. 368 No. 17
中国の学童における寄生虫感染予防のための一連の衛生教育
Health-Education Package to Prevent Worm Infections in Chinese Schoolchildren
F.A. Bieri and Others
土壌伝播蠕虫は,世界で起こるヒト感染のなかで,もっともよくみられる感染源の一つである.これらの寄生虫が蔓延している中国湖南省臨湘市区の農村部の学校において,教育パッケージの効果を検討した.介入の目的は,土壌伝播蠕虫に関する知識を高め,行動変容を促し,感染率を低下させることである.
38 の学校で,1 学年度のあいだに,9~10 歳の児童 1,718 人を対象に,単盲検アンマッチドクラスター無作為化介入試験を行った.対象の学校を,アニメビデオを用いる衛生教育群と,衛生教育ポスターを掲示するのみの対照群に無作為に割り付けた.介入前後に感染率,土壌伝播蠕虫に関する知識(質問票を用いて評価),手洗い行動を評価した.アルベンダゾールを,ベースラインではすべての参加児童に投与し,学年終了時の追跡評価時には,土壌伝播蠕虫の感染陽性が判明したすべての児童に投与した.
追跡評価の時点で,蠕虫に関する知識(質問票のスコア合計 43 点に対する割合として算出)の平均スコアは,介入群のほうが対照群よりも 90%高く(63.3 対 33.4,P<0.001),トイレ使用後に手を洗う児童の割合は,介入群のほうが 2 倍近く高く(98.9% 対 対照群 54.2%,P<0.001),土壌伝播蠕虫感染の発生率は,介入群のほうが対照群よりも 50%低かった(4.1% 対 8.4%,P<0.001).アルベンダゾール投与直後(15 分以内)に有害事象は認められなかった.
一連の衛生教育によって,1 学年度のうちに,児童の土壌伝播蠕虫に関する知識が高まり,行動の変容と感染発生率の低下がもたらされた.(スイス・チューリッヒの UBS オプティマス財団から研究助成を受けた.Australian New Zealand Clinical Trials Registry 番号:ANZCTR12610000048088)