プライマリケア診療に対する医師とナースプラクティショナーの見解
Perspectives of Physicians and Nurse Practitioners on Primary Care Practice
K. Donelan and Others
米国の医療制度は,医療従事者の確保という点で重大な岐路に立っている.米国ではプライマリケア医が不足している.政策アナリストは,プライマリケア提供者に対する需要の増加に対処するため,ナースプラクティショナーの供給と業務範囲の拡大を提案しているが,この提案は議論を呼んでいる.
2011 年 11 月 23 日~2012 年 4 月 9 日に,プライマリケア診療に携わる 972 人の臨床従事者(医師 505 人,ナースプラクティショナー 467 人)を対象とした全米郵便調査を行った.質問票の項目には,業務範囲,診療の特徴,プライマリケアにおいてナースプラクティショナーの役割を拡大することの影響に対する考え方が含まれた.回答率は 61.2%であった.
医師はナースプラクティショナーよりも,勤務時間が長く,多くの患者を診察し,収入が高いと回答した.ナースプラクティショナーの 80.9%は医師とともに診療業務にあたっていると回答したのに対し,ナースプラクティショナーとともに診療業務にあたっていると回答した医師は 41.4%であった.ナースプラクティショナーは,「ナースプラクティショナーはメディカルホームを主導すべきである」,「ナースプラクティショナーは入院に関する権限をもつべきである」,「ナースプラクティショナーは同じ臨床業務に対して医師と同等の報酬を得るべきである」と考えている割合が医師よりも多かった.「同じタイプのプライマリケア診療中,医師はナースプラクティショナーよりも質の高い診察と相談を提供している」という意見についてどう思うかという質問では,医師の 66.1%が「そう思う」と回答したのに対し,ナースプラクティショナーは 75.3%が「そうは思わない」と回答した.
プライマリケアにおけるナースプラクティショナーの供給と業務範囲の拡大に向けた現在の政策勧告には議論がある.医師とナースプラクティショナーは,プライマリケアの提供におけるそれぞれの役割について意見が一致していない.(ゴードン・アンド・ベティ・ムーア財団ほかから研究助成を受けた.)