医療保険制度改革のもとでの若年成人の救急医療に対する保険適用
Insurance Coverage of Emergency Care for Young Adults under Health Reform
A. Mulcahy and Others
医療費負担適正化法(Affordable Care Act:ACA)の制定により,全米の 19~25 歳の若年成人は,親が加入する民間医療保険の適用対象となった.われわれは,この条項の施行により,若年成人が重大な緊急疾患で医療を必要とした場合の保険適用率がどのように変化したかを調査した.
若年成人(19~25 歳)の救急部受診に対する民間保険の適用に,ACA 条項がどのように影響したかを推定するため,大規模かつ多様な病院の診療報酬請求データセットを用いて,2009~11 年の 480,000 件を超える,みずからの判断に基づくものではない(非裁量的)救急部受診について検討した.保険適用の根本的な傾向について補正するため,対象年齢群における変化を,ACA 条項の影響を受けない 26~31 歳の成人(対照群)における変化と比較した.
ACA 条項の施行後,若年成人の非裁量的救急部受診に対する民間保険の適用は,対照群における同様の受診と比較して,3.1 パーセントポイント増加した(95%信頼区間 [CI] 2.3~3.9,相対的増加 5.2%,P<0.001).保険に加入していない若年成人の受診比率も有意に減少した(-1.7 パーセントポイント,95% CI -2.8~-0.7,相対的減少 9.1%,P<0.001).メディケイドや他の非民間保険の適用を受けた非裁量受診の割合は,研究期間中を通じて比較的安定していた.この保険適用枠の拡大により,1 年間で,新たに保険適用対象となった若年成人の救急部受診 22,072 件,それに関連する医療費 1 億 4,700 万ドルに民間保険が適用されたと推定された.
扶養家族適用条項の制定により,重篤な緊急疾患に対する経済的負担を免れた若年成人の割合は有意に増加した.(米国保健福祉省計画・評価担当副長官室から研究助成を受けた.)