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January 17, 2013 Vol. 368 No. 3

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重症血友病 A における第 VIII 因子製剤とインヒビター発現
Factor VIII Products and Inhibitor Development in Severe Hemophilia A

S.C. Gouw and Others

背景

治療歴のない重症血友病 A の小児では,投与された第 VIII 因子製剤の種類や製剤間の切替えが,臨床的に意義のある阻害抗体の発現(インヒビター発現)に関連するかどうかは明らかではない.

方 法

2000~10 年に出生した,連続する 574 例の重症血友病 A の患児(第 VIII 因子活性<0.01 IU/mL)を評価し,最長 75 日の曝露期間におけるすべての凝固因子投与についてデータを収集した.主要転帰はインヒビター発現とし,インヒビター検査が 2 回以上陽性で,in vivo の第 VIII 因子量の回復が低下している場合と定義した.

結 果

阻害抗体は 574 例中 177 例で発現しており(累積発現率 32.4%),116 例では最高力価が 5 ベセスダ単位/mL 以上と定義した高力価の阻害抗体が認められた(累積発現率 22.4%).血漿由来製剤は,遺伝子組換え型製剤に伴うリスクと同程度のインヒビター発現リスクをもたらした(遺伝子組換え型製剤に対する補正ハザード比 0.96,95%信頼区間 [CI] 0.62~1.49).第三世代の全長遺伝子組換え型製剤(ヒト第 VIII 因子の相補的 DNA 全長配列に由来)と比較して,第二世代の全長組換え型製剤は,インヒビター発現の高いリスクと関連していた(補正ハザード比 1.60,95% CI 1.08~2.37).製剤中のフォン・ヴィレブランド因子含有量や製剤間の切替えは,インヒビター発現のリスクには関連していなかった.

結 論

遺伝子組換え型第 VIII 因子製剤と血漿由来の第 VIII 因子製剤は,同程度のインヒビター発現リスクをもたらし,製剤中のフォン・ヴィレブランド因子含有量や製剤間の切替えは,インヒビター発現のリスクには関連していなかった.第二世代の全長遺伝子組換え型製剤は,第三世代製剤と比較して高いリスクと関連していた.(Bayer Healthcare 社,Baxter BioScience 社の研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 368 : 231 - 9. )