January 31, 2013 Vol. 368 No. 5
重度急性栄養失調の管理の一環としての抗菌薬
Antibiotics as Part of the Management of Severe Acute Malnutrition
I. Trehan and Others
重度急性栄養失調が原因となって,毎年 100 万人の小児が死亡している.栄養療法に抗菌薬をルーチンに追加することにより,地域で治療を受ける重度急性栄養失調の小児の回復率が上昇し,死亡率が低下する可能性がある.
無作為化二重盲検プラセボ対照試験において,重度急性栄養失調をきたした生後 6~59 ヵ月のマラウイ人の小児を,合併症のない重度急性栄養失調の外来治療で用いられている簡易治療食に加えて,アモキシシリンを投与する群,セフジニルを投与する群,プラセボを投与する群のいずれかに無作為に割り付け,7 日間投与した.主要転帰は栄養回復率と死亡率とした.
重度の急性栄養失調患児 2,767 例を登録した.回復率は,アモキシシリン群 88.7%,セフジニル群 90.9%,プラセボ群 85.1%であった(治療失敗の相対リスク:プラセボ 対 アモキシシリン 1.32,95%信頼区間 [CI] 1.04~1.68;プラセボ 対 セフジニル 1.64,95% CI 1.27~2.11).3 群の死亡率はそれぞれ 4.8%,4.1%,7.4%であった(死亡の相対リスク:プラセボ 対 アモキシシリン 1.55,95% CI 1.07~2.24;プラセボ 対 セフジニル 1.80,95% CI 1.22~2.64).回復した児のうち,抗菌薬投与を受けた児では体重増加率が高かった.栄養回復率および死亡率に関して,重度急性栄養失調のタイプと介入群とのあいだで交互作用は認められなかった.
合併症のない重度急性栄養失調に対する治療レジメンに抗菌薬を追加することは,回復率および死亡率の有意な改善と関連していた.(ヒッキーファミリー財団ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT01000298)