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February 14, 2013 Vol. 368 No. 7

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ハイチにおけるコレラ流行期のサーベイランス ― 最初の 2 年
Cholera Surveillance during the Haiti Epidemic ― The First 2 Years

E.J. Barzilay and Others

背景

壊滅的な地震から約 10 ヵ月後の 2010 年 10 月,ハイチはコレラの流行に見舞われた.流行が確認されてから数日のうちに,ハイチ公衆衛生・国民省は,全国コレラサーベイランスシステム(NCSS)を設置した.

方 法

NCSS では,世界保健機関(WHO)のコレラの症例定義を修正し,「培養によりコレラ菌(Vibrio cholerae)O1 の感染が 1 例以上確認された地域の,あらゆる年齢の住民における,嘔吐の有無を問わない急性の水様性下痢」とする定義を用いた.

結 果

最初に報告されてから 29 日以内に,V. cholerae O1(血清型は Ogawa 型,生物型は El Tor 型)の症例がハイチの 10 の県(州や省のようなもの)すべてで確認された.2012 年 10 月 20 日までに,公衆衛生省は感染 604,634 例,入院 329,697 件,コレラによる死亡 7,436 例を報告し,V. cholerae O1 は検査した 2,703 の便検体のうち,1,675 検体(62.0%)で分離された.累積罹患率は 1 年目の終了時には 5.1%,2 年目の終了時には 6.1%であった.累積致死率は一貫して低下する傾向にあり,2 年目の終了時には 1.2%となり,県ごとの累積致死率は 0.6%から4.6%(中央値 1.4%)であった.流行開始から 3 ヵ月のうちに,14 日致死率は 1.0%となり,以降は数回の一時的な例外を除いて同程度,またはそれ以下で推移した.全体として,ハイチにおけるコレラ流行は,2010 年に WHO に報告されたコレラ症例全体の 57%,コレラによる死亡全体の 53%を占め,2011 年ではコレラ症例全体の 58%,コレラによる死亡全体の 37%を占めた.

結 論

NCSS データの検討により,ハイチにおけるコレラ流行の最初の 2 年間における累積罹患率は 6.1%であり,10 県すべてで症例が報告されたことが示された.最初の症例が報告されてから 3 ヵ月のうちに死亡率には低下傾向がみられ,ほとんどの地域で 14 日致死率は 1.0%以下になった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 368 : 599 - 609. )