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February 21, 2013 Vol. 368 No. 8

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肺癌スクリーニングの選択基準
Selection Criteria for Lung-Cancer Screening

M.C. Tammemägi and Others

背景

全米肺検診試験(NLST)では,肺癌スクリーニングの選択基準として肺癌の危険因子(30 箱・年以上の喫煙歴,禁煙後 15 年未満など)が用いられた.スクリーニングが必要な人を選択するために,さらなる危険因子を追加した正確なモデルを使用すれば,肺癌を有する人,将来発症するであろう人をより多く同定できる可能性がある.

方 法

前立腺癌・肺癌・大腸癌・卵巣癌(PLCO)スクリーニング試験でわれわれが用いた 2011 年の肺癌リスク予測モデルを,NLST のデータに適用できるように修正した.すなわち,リスクは NLST の追跡期間に合わせ,6 年間に肺癌が診断される確率とした.PLCO の対照群と介入群の喫煙者 80,375 人のデータを用いて PLCOM2012 モデルを開発し,妥当性を検証した.識別能(受信者動作特性曲線下面積 [AUC])とキャリブレーションを評価した.検証データセットでは,37,332 人中 14,144 人(37.9%)が NLST 基準に合致した.比較を行うため,PLCOM2012 基準でリスクがもっとも高い 14,144 人を陽性(スクリーニングに適格)とした.肺癌検出における PLCOM2012 基準の正確度を,NLST 基準と比較した.Cox モデルを用いて,NLST で低線量 CT によるスクリーニングを受けた 53,202 人における死亡率の低下が,リスクによって異なるかどうかを検討した.

結 果

AUC は開発データセットで 0.803,検証データセットで 0.797 であった.PLCOM2012 基準では,NLST 基準と比較して,感度(83.0% 対 71.1%,P<0.001)と陽性適中率(4.0% 対 3.4%,P=0.01)が改善され,特異度(それぞれ 62.9% 対 62.7%,P=0.54)は低下することなく,見逃された肺癌は 41.3%少なかった.NLST スクリーニングの効果に,PLCOM2012 リスクによる差はなかった(交互作用について P=0.61).

結 論

肺癌の検出に PLCOM2012 モデルを用いた場合,NLST 基準よりも感度が高かった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 368 : 728 - 36. )