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February 28, 2013 Vol. 368 No. 9

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急性呼吸促迫症候群に対する高頻度振動換気法
High-Frequency Oscillation for Acute Respiratory Distress Syndrome

D. Young and Others

背景

急性呼吸促迫症候群(ARDS)患者は,動脈血の酸素化を維持するために人工呼吸管理が必要であるが,このような治療は二次的肺損傷をもたらすことがある.高頻度振動換気法(HFOV)によってこの二次的損傷が減少する可能性がある.

方 法

多施設共同研究において,ARDS に対して人工呼吸管理が必要な成人を,Novalung R100 人工呼吸器(Metran)により HFOV を行う群と,通常の換気治療を行う群に無作為に割り付けた.全患者の吸気酸素濃度(FIO2)に対する動脈血酸素分圧(PaO2)の比は 200 mmHg(26.7 kPa)以下であり,予測される人工呼吸管理期間は最短で 2 日であった.主要転帰は,無作為化後 30 日の時点での全死因死亡率とした.

結 果

主要転帰は HFOV 群 398 例中 166 例(41.7%)と通常換気群 397 例中 163 例(41.1%)に発生し,群間で有意差は認められなかった(χ2 検定による P=0.85).参加施設,性別,急性生理学的異常・慢性度による重症度評価(APACHE)II のスコア,初期の PaO2/FIO2 比について補正後,通常換気群における生存のオッズ比は 1.03(95%信頼区間 0.75~1.40,ロジスティック回帰による P=0.87)であった.

結 論

ARDS に対して人工呼吸管理を受けている患者に HFOV を用いても,30 日死亡率に有意な影響は認められなかった.(英国国立健康研究所医療技術評価プログラムから研究助成を受けた.OSCAR Current Controlled Trials 番号:ISRCTN10416500)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 368 : 806 - 13. )