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February 28, 2013 Vol. 368 No. 9

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糖尿病キャンプにおける人工膵臓による夜間血糖コントロール
Nocturnal Glucose Control with an Artificial Pancreas at a Diabetes Camp

M. Phillip and Others

背景

最近の研究で,人工膵臓システムによって血糖コントロールの改善と,夜間低血糖の減少が可能であることが示されている.しかし,そのような結果が病院外の環境で再現できるかどうかは明らかにされていない.

方 法

多施設共同多国間無作為化クロスオーバー試験において,糖尿病キャンプに参加した 1 型糖尿病患者(10~18 歳)を対象に,人工膵臓システムの夜間血糖値のコントロールにおける短期の安全性と有効性を検討した.連続する 2 日間の夜間セッションにおいて,56 例の患者を,1 日目の夜は人工膵臓による治療を行い,2 日目の夜はセンサー付インスリンポンプ(対照)を使用する群と,1 日目と 2 日目の治療の順番を逆にする群に無作為に割り付けた.したがって,すべての患者が無作為に割り付けられた順番で両治療を受けた.主要エンドポイントは,低血糖イベント(センサーによる血糖測定値が連続 10 分以上 63 mg/dL [3.5 mmol/L] 未満となる場合と定義)の数,血糖値が 60 mg/dL(3.3 mmol/L)未満であった時間,および各患者の平均夜間血糖値とした.

結 果

人工膵臓を使用した夜は,センサー付インスリンポンプを使用した夜と比較して,夜間血糖値が 63 mg/dL 未満となるエピソード数が有意に少なく(7 対 22),血糖値が 60 mg/dL 未満であった時間も有意に短かった(それぞれ,多重補正後の P=0.003,P=0.02).各患者の平均夜間血糖値の中央値は,人工膵臓使用時は 126.4 mg/dL(四分位範囲 115.7~139.1 [7.0 mmol/L,四分位範囲 6.4~7.7]),センサー付インスリンポンプ使用時は 140.4 mg/dL(四分位範囲 105.7~167.4 [7.8 mmol/L,四分位範囲 5.9~9.3])であった.重篤な有害事象の報告はなかった.

結 論

糖尿病キャンプに参加した患者に人工膵臓システムによる治療を行った場合,センサー付インスリンポンプ使用時と比較して夜間低血糖の頻度が低く,より厳格な血糖コントロールが得られた.(Sanofi 社ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT01238406)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 368 : 824 - 33. )