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September 26, 2013 Vol. 369 No. 13

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全ゲノム配列決定により特定された C. difficile の多様な感染源
Diverse Sources of C. difficile Infection Identified on Whole-Genome Sequencing

D.W. Eyre and Others

背景

Clostridium difficileC. difficile)感染は,主に医療施設内で伝播すると考えられている.しかし,地域での感染拡大により,正確な感染源の特定と介入の有効性の評価が妨げられている.

方 法

2007 年 9 月~2011 年 3 月に,英国・オックスフォードシャーの医療施設または地域で C. difficile 感染が確認された有症状の患者全例から得た分離株について,全ゲノム配列決定を行った.C. difficile の進化速度を用いて,分離株間の一塩基多様体(single-nucleotide variant:SNV)を比較した.進化速度は 145 例で採取したそれぞれの最初と最後の検体に基づいて推定し,95%予測区間に基づき,採取間隔が 124 日未満の場合,伝播した分離株間における SNV は 0~2 個と予測された.その後入院および地域区分のデータから,遺伝学的関連の認められた症例における疫学的に妥当な関連を明らかにした.

結 果

検討した C. difficile 感染 1,250 症例のうち,1,223 症例(98%)で塩基配列決定に成功した.2008 年 4 月~2011 年 3 月に得られた 957 検体と 2007 年 9 月以降に得られた検体(過去症例)との比較で,過去症例の少なくとも 1 例に由来する SNV が 2 個以下であったのは 333 株(35%)であり,428 株(45%)ではすべての過去症例に由来する SNV が 10 個を上回っていた.症例の発生率の経時的な低下はこの 2 つのグループで同程度であったことから,曝露から感染への移行を標的とした介入の効果が示唆される.SNV が 2 個以下(伝播と一致)の患者 333 例中,126 例(38%)には院内で他の患者との濃厚接触があり,120 例(36%)には院内および地域で他の患者との接触はなかった.試験期間を通して感染の明確なサブタイプが継続的に同定されたことから,多数の C. difficile 保有体の存在が示唆される.

結 論

3 年間で,オックスフォードシャーにおける C. difficile 症例の 45%は過去のあらゆる症例と遺伝的に異なっていた.有症状の患者に加えて,遺伝的に多様な感染源も C. difficile の伝播に重要な役割を担っている.(英国臨床試験協力会トランスレーショナル感染研究イニシアチブほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 369 : 1195 - 205. )