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September 26, 2013 Vol. 369 No. 13

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機械弁置換患者におけるダビガトランとワルファリンとの比較
Dabigatran versus Warfarin in Patients with Mechanical Heart Valves

J.W. Eikelboom and Others

背景

ダビガトランは,心房細動患者においてワルファリンに代わる有効性が示されている経口トロンビン直接阻害薬である.われわれは,機械弁置換患者に対するダビガトラン投与の有効性を評価した.

方 法

用量検証第 2 相試験において,大動脈弁あるいは僧帽弁の置換術を過去 7 日間に受けた患者と,3 ヵ月以上前に受けた患者の 2 群について調査を行った.患者を,ダビガトラン投与群とワルファリン投与群に 2:1 の割合で無作為に割り付けた.ダビガトランの初回投与量(150 mg,220 mg,300 mg を 1 日 2 回)は腎機能に基づき選択した.また,トラフ血漿中濃度が 50 ng/mL 以上になるように投与量を調節した.ワルファリンの投与量は血栓塞栓症のリスクに基づき,国際標準比 2.0~3.0 または 2.5~3.5 となるようにした.主要評価項目はダビガトランのトラフ血漿中濃度とした.

結 果

252 例を登録後,ダビガトラン投与群で血栓塞栓イベントおよび出血イベントが過度に発生したため,試験を早期に終了した.as-treated 解析では,162 例中 52 例(32%)がダビガトランの用量調節または投薬中止を必要とした.虚血性または分類不能の脳卒中が,ダビガトラン投与群の 9 例(5%)で発症したが,ワルファリン投与群では認められなかった.重大な出血はダビガトラン投与群の 7 例(4%),ワルファリン投与群の 2 例(2%)で認められた.重大な出血はすべて心膜腔内出血であった.

結 論

機械弁置換患者に対するダビガトラン投与により,ワルファリン投与と比較して,血栓塞栓性合併症および出血性合併症の発生率が上昇した.すなわち,ダビガトランに利益はなく,リスクが上昇することが示された.(Boehringer Ingelheim 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT01452347,NCT01505881)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 369 : 1206 - 14. )