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October 17, 2013 Vol. 369 No. 16

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COPD におけるチオトロピウム レスピマット吸入と死亡リスク
Tiotropium Respimat Inhaler and the Risk of Death in COPD

R.A. Wise and Others

背景

慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者を対象としたプラセボ対照試験では,チオトロピウム 5 μg のレスピマット吸入に,チオトロピウム 18 μg の専用吸入器ハンディヘラーによる吸入と同程度の有効性があることが示されている.チオトロピウムのハンディヘラーによる吸入はプラセボと比較し死亡率低下との関連が示されているが,チオトロピウム レスピマット吸入はプラセボよりも死亡が多いことが報告されている.

方 法

COPD 患者 17,135 例を対象とした無作為化二重盲検並行群間比較試験において,チオトロピウム 1 日 1 回 2.5 μg または 5 μgのレスピマット吸入の安全性と有効性を,チオトロピウム 1 日 1 回 18 μg をハンディヘラーで吸入した場合と比較検討した.主要評価項目は死亡リスク(非劣性試験,5 μg または 2.5 μg レスピマット 対 ハンディヘラー)と,COPD の初回増悪リスク(優越性試験,5 μg レスピマット 対 ハンディヘラー)とした.安定した心疾患を有する患者における安全性を含む,心血管系に対する安全性の評価も行った.

結 果

平均 2.3 年の追跡期間中に,レスピマットは,死亡リスクに関してハンディヘラーに対し非劣性であった(5 μg レスピマット 対 ハンディヘラーのハザード比 0.96,95%信頼区間 [CI] 0.84~1.09;2.5 μg レスピマット 対 ハンディヘラーのハザード比 1.00,95% CI 0.87~1.14).初回増悪リスクに関しては,レスピマットのハンディヘラーに対する優越性は示されなかった(5 μg レスピマット 対 ハンディヘラーのハザード比 0.98,95% CI 0.93~1.03).死亡原因および主要心血管系有害事象の発生率は 3 群で同等であった.

結 論

COPD 患者において,チオトロピウム 5 μg または 2.5 μgのレスピマット吸入の安全性プロファイルおよび増悪抑制効果は,チオトロピウム 18 μg のハンディヘラーによる吸入と同程度であった.(Boehringer Ingelheim 社から研究助成を受けた.TIOSPIR ClinicalTrials.gov 番号:NCT01126437)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 369 : 1491 - 501. )