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July 11, 2013 Vol. 369 No. 2

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米国における肺炎球菌ワクチン接種導入後10 年での肺炎による入院
U.S. Hospitalizations for Pneumonia after a Decade of Pneumococcal Vaccination

M.R. Griffin and Others

背景

2000 年に米国の小児ワクチン接種計画に 7 価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV7)が導入されたことで,若年小児と,ワクチン接種をしていない年長の小児や成人における,ワクチン血清型の侵襲性肺炎球菌疾患の発生率が大幅に低下している.2004 年までに,若年小児ではあらゆる原因による肺炎に関連する入院も顕著に減少した.ワクチン血清型以外の血清型による疾患の増加が懸念されるため,若年小児の肺炎関連入院の減少が 2009 年まで持続したかどうか,また,より年齢が高い集団においても同様の入院が減少したかどうかを検討した.

方 法

全米入院患者標本(Nationwide Inpatient Sample)データベースを用いて,あらゆる原因の肺炎による入院の年間発生率を推定した.入院の理由を肺炎とするのは,肺炎が主病名である場合か,主病名が敗血症,髄膜炎,膿胸のいずれかで,その次に記された病名が肺炎である場合とした.1997~99 年(PCV7 導入前)と 2007~09 年(導入後十分な時間が経過している)の肺炎関連入院の平均年間発生率を用いて,肺炎による入院の年間減少率を推定した.

結 果

2 歳未満の小児の肺炎による入院の年間発生率は,10 万人あたり 551.1 例(95%信頼区間 [CI] 445.1~657.1)減少した.これは PCV7 導入以前の発生率に基づき予測された年間入院数よりも 47,000 例少なかったことになる.85 歳以上の成人の入院発生率は 10 万人あたり 1,300.8 例(95% CI 984.0~1617.6)減少し,予測された年間入院数よりも 73,000 例少なかった.18~39 歳,65~74 歳,75~84 歳の 3 つの年齢群における肺炎による入院の年間発生率は,それぞれ 10 万人あたり 8.4 例(95% CI 0.6~16.2),10 万人あたり 85.3 例(95% CI 7.0~163.6),10 万人あたり 359.8 例(95% CI 199.6~520.0)減少した.全体として,年齢で補正した年間減少率は 10 万人あたり 54.8 例(95% CI 41.0~68.5)と推定され,すなわち肺炎による入院は,予測よりも年間で 168,000 例少なかったことになる.

結 論

小児の肺炎による入院の減少は,PCV7 導入後 10 年間持続した.成人における肺炎による入院にも,大幅な減少が認められた.(米国疾病対策予防センターから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 369 : 155 - 63. )