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October 24, 2013 Vol. 369 No. 17

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HLA-B13:01 とダプソン過敏性症候群
HLA-B*13:01 and the Dapsone Hypersensitivity Syndrome

F.-R. Zhang and Others

背景

ダプソン(dapsone)は感染症および炎症性疾患の治療に使用されている.ダプソン過敏性症候群は,投与患者の約 0.5~3.6%に発症し,死亡率が 9.9%と報告されている.現在のところ,ダプソン過敏性症候群のリスク予測に用いることのできる検査はない.

方 法

ハンセン病の多剤併用療法の一環としてダプソンを投与された 872 例(ダプソン過敏性症候群患者 39 例,対照 833 例)のゲノムワイド関連解析を行った.解析には,一塩基多型(SNP)の加法モデルに基づくロジスティック回帰,および HLA 分子の帰属計算を用いた.再現性を検証するため,別のダプソン過敏性症候群患者 31 例,対照 1,089 例において,24 個の SNP 遺伝型を解析した.また,ダプソン過敏性症候群患者 37 例,対照 201 例から成る独立した集団において,次世代シーケンシングによって,4 桁解像度レベルで HLA-BHLA-C のタイピングを行った.

結 果

ゲノムワイド関連解析によって,ハンセン病患者では,HLA-B 座位と MICA 座位のあいだに位置する SNP rs2844573 が,ダプソン過敏性症候群と有意に関連することが示された(オッズ比 6.18,P=3.84×10-13).また,HLA-B13:01 がダプソン過敏性症候群の危険因子であることが確認された(オッズ比 20.53,P=6.84×10-25).HLA-B13:01 の存在が,ダプソン過敏性症候群の予測因子として感度 85.5%,特異度 85.7%であった.HLA-B13:01 が存在しない場合,リスクは 1/7 に(1.4%から 0.2%へ)低下した.HLA-B13:01 は,中国人の約 2~20%,日本人の 1.5%,インド人の 1~12%,東南アジア人の 2~4%に存在するが,ヨーロッパ人とアフリカ人にはほとんど存在しない.

結 論

HLA-B13:01 は,ハンセン病患者におけるダプソン過敏性症候群の発症に関連していた.(中国国家自然科学基金委員会ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 369 : 1620 - 8. )