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October 31, 2013 Vol. 369 No. 18

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膵癌におけるアルブミン結合パクリタキセルとゲムシタビンの併用による生存期間延長
Increased Survival in Pancreatic Cancer with nab-Paclitaxel plus Gemcitabine

D.D. Von Hoff and Others

背景

アルブミン結合パクリタキセル(nab-パクリタキセル)とゲムシタビンの併用療法に関する第 1/2 相試験において,進行膵癌患者における高い抗腫瘍活性が示された.われわれは,転移性膵癌患者におけるこの併用療法の有効性と安全性を,ゲムシタビン単剤療法と比較する第 3 相試験を行った.

方 法

カルノフスキーパフォーマンスステータススコアが 70 以上(0~100 で,スコアが高いほど全身状態が良好であることを示す)の患者を,4 週間サイクルで 1,8,15 日目に nab-パクリタキセル(125 mg/m2 体表面積)を投与後,ゲムシタビン(1,000 mg/m2)を投与する群と,ゲムシタビン(1,000 mg/m2)を単独で,8 週間のうち 7 週間は週 1 回投与し(サイクル 1),その後 4 週間サイクルで 1,8,15 日目に投与する(サイクル 2 以降)群に無作為に割り付けた.増悪が認められるまで試験薬を投与した.主要評価項目は全生存期間とし,副次的評価項目は無増悪生存期間と全奏効率とした.

結 果

861 例を nab-パクリタキセル+ゲムシタビン群(431 例)とゲムシタビン群(430 例)に無作為に割り付けた.全生存期間中央値は,nab-パクリタキセル+ゲムシタビン群 8.5 ヵ月に対し,ゲムシタビン群 6.7 ヵ月であった(死亡のハザード比 0.72,95%信頼区間 [CI] 0.62~0.83,P<0.001).1 年生存率は nab-パクリタキセル+ゲムシタビン群では 35%,ゲムシタビン群では 22%であり,2 年生存率はそれぞれ 9%と 4%であった.無増悪生存期間中央値は,nab-パクリタキセル+ゲムシタビン群 5.5 ヵ月に対し,ゲムシタビン群 3.7 ヵ月であり(増悪または死亡のハザード比 0.69,95% CI 0.58~0.82,P<0.001),独立に評価された奏効率は 2 群でそれぞれ 23%と 7%であった(P<0.001).グレード 3 以上の有害事象で頻度が高かったのは好中球減少症(nab-パクリタキセル+ゲムシタビン群 38% 対 ゲムシタビン群 27%),疲労(17% 対 7%),ニューロパチー(17% 対 1%)であった.発熱性好中球減少症の頻度は nab-パクリタキセル+ゲムシタビン群 3%に対し,ゲムシタビン群 1%であった.nab-パクリタキセル+ゲムシタビン群では,グレード 3 以上のニューロパチーは,中央値 29 日でグレード 1 以下に改善した.

結 論

転移性膵腺癌患者において,nab-パクリタキセルとゲムシタビンの併用療法により全生存期間,無増悪生存期間,奏効率が有意に改善したが,末梢ニューロパチーと骨髄抑制の発現率は上昇した.(Celgene 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00844649)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 369 : 1691 - 703. )