November 14, 2013 Vol. 369 No. 20
成人バーキットリンパ腫患者に対する低強度療法
Low-Intensity Therapy in Adults with Burkitt's Lymphoma
K. Dunleavy and Others
バーキットリンパ腫は,小児と成人に生じる悪性度の高い B 細胞リンパ腫であり,多くは集中的な毒性の高い化学療法によって治癒可能である.現在の治療法は,成人および免疫不全患者においては,小児と比較して有効性が低く,重篤な副作用がみられる.
未治療のバーキットリンパ腫患者を対象に,エトポシド/ドキソルビシン/シクロホスファミド/ビンクリスチン/プレドニゾン(prednisone)+リツキシマブ(EPOCH-R)の投与を行う低強度療法を検討した.EPOCH-R レジメンは 2 通り検討した.一つはヒト免疫不全ウイルス(HIV)陰性患者を対象とした標準的な用量調節併用レジメン(DA-EPOCH-R 群)で,もう一つは HIV 陽性患者を対象とした低用量かつ短期間の, リツキシマブは倍量の併用レジメン(SC-EPOCH-RR 群)である.
連続する 30 例が治療を受けた.内訳は DA-EPOCH-R 群 19 例,SC-EPOCH-RR 群 11 例であった.患者全体の年齢中央値は 33 歳で,40%が 40 歳以上であり,患者の 73%が中等度リスク,10%が高リスクのバーキットリンパ腫であった.主要毒性事象である発熱と好中球減少症は,DA-EPOCH-R 治療サイクルの 22%,SC-EPOCHRR 治療サイクルの 10%で認められた.腫瘍崩壊症候群が 1 例で発生したが,治療関連死はみられなかった.SC-EPOCH-RR 群の累積投与量中央値は,DA-EPOCH-R 群と比較して,ドキソルビシン-エトポシドは 47%低く,シクロホスファミドは 57%低かった.追跡期間中央値は DA-EPOCH-R 群 86 ヵ月,SC-EPOCH-RR 群 73 ヵ月であり,無増悪率と全生存率は,DA-EPOCH-R 群ではそれぞれ 95%と 100%,SC-EPOCH-RR 群では 100%と 90%であった.バーキットリンパ腫により死亡した患者はいなかった.
この非対照前向き試験において,低強度の EPOCH-R をベースにした治療は,散発性または免疫不全関連バーキットリンパ腫の成人患者に非常に有効であった.(米国国立がん研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00001337,NCT00006436)