November 28, 2013 Vol. 369 No. 22
DNA/rAd5 HIV-1 予防ワクチンの有効性試験
Efficacy Trial of a DNA/rAd5 HIV-1 Preventive Vaccine
S.M. Hammer and Others
ヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)感染を予防するための安全かつ有効なワクチンの開発は,国際的優先事項である.われわれは,米国の HIV-1 感染高リスク者を対象に,DNA プライム組換えアデノウイルス 5 型ブースト(DNA/rAd5)ワクチンレジメンの有効性を検証した.
21 施設において,男性と性交渉をもつ男性または性転換女性 2,504 例を,DNA/rAd5 ワクチンを接種する群(1,253 例)とプラセボを接種する群(1,251 例)に無作為に割り付けた.登録後 28 週目から 24 ヵ月目までの HIV-1 感染(「28 週以降の感染」と表記),ウイルス学的セットポイント(診断後 10~20 週における血漿 HIV-1 RNA 量の平均値),安全性を評価した.6 種のプラスミド DNA ワクチン(クレード B の Gag 蛋白,Pol 蛋白,Nef 蛋白と,クレード A,B,C の Env 蛋白を発現する)を 0,4,8 週目に接種した.rAd5 ベクターブースト(クレード B の Gag-Pol 融合蛋白と,クレード A,B,C の Env 糖蛋白を発現する)を 24 週目に接種した.
2013 年 4 月,データ安全性モニタリング委員会は,有効性の欠如によりワクチン接種の中止を勧告した.主要解析では,ワクチン群の 27 例とプラセボ群の 21 例が 28 週以降の感染と診断され(ワクチンの有効性 -25.0%,95%信頼区間 -121.2~29.3,P=0.44),ウイルス学的セットポイントである平均 HIV-1 RNA 量はワクチン群が 4.46 log10 コピー/mL,プラセボ群が 4.47 log10 コピー/mL であった.試験期間中の全感染の解析(ワクチン群 41 例,プラセボ群 31 例)においても,ワクチンの有効性の欠如が示された(P=0.28).DNA/rAd5 ワクチンレジメンの副作用プロファイルは忍容可能であった.
今回の試験集団において,DNA/rAd5 ワクチンレジメンでは,HIV-1 感染率もウイルス学的セットポイントも低下しなかった.( 米国国立アレルギー感染症研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00865566)