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November 28, 2013 Vol. 369 No. 22

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両側副腎皮質大結節性過形成における副腎内コルチコトロピン
Intraadrenal Corticotropin in Bilateral Macronodular Adrenal Hyperplasia

E. Louiset and Others

背景

両側副腎皮質大結節性過形成は,原発性副腎性クッシング症候群のまれな原因である.この種の過形成では,コルチゾールの過剰分泌によって,下垂体副腎皮質刺激ホルモン産生細胞によるコルチコトロピン放出が抑制され,血漿コルチコトロピンが低値となる.そのため,この疾患はコルチコトロピン非依存性副腎皮質大結節性過形成と呼ばれている.このような過形成副腎におけるコルチコトロピンの異常産生を調査した.

方 法

原発性副腎疾患の患者 30 例から,大結節性副腎過形成組織の検体を採取した.コルチコトロピン前駆体プロオピオメラノコルチンとコルチコトロピンの発現を,ポリメラーゼ連鎖反応法と免疫組織化学的解析によって評価した.11 検体のコルチコトロピンとコルチゾールの産生を,ホルモン測定とともに,培養移植片と培養細胞を用いて評価した.2 例から得た副腎静脈血および末梢静脈血の検体において,コルチコトロピン値を測定した.

結 果

すべての副腎過形成組織検体において,プロオピオメラノコルチンのメッセンジャー RNA(mRNA)の発現が検出された.副腎検体全体に広がり,集合体をなすステロイド産生細胞において,コルチコトロピンが検出された.副腎コルチコトロピン値は,副腎静脈血検体のほうが末梢静脈血検体よりも高く,過形成副腎内のペプチドの局所産生と一致する結果であった.副腎コルチコトロピンの放出は,異常な膜受容体のリガンドによって刺激されたが,コルチコトロピン放出ホルモンやデキサメタゾンによっては刺激されなかった.検体のコルチコトロピン免疫染色の半定量的スコアは,基礎血漿コルチゾール値と相関した.コルチコトロピン受容体拮抗薬によって,in vitro のコルチゾール分泌が有意に阻害された.

結 論

大結節性過形成とクッシング症候群を有する患者における副腎のコルチゾール分泌は,過形成副腎内のステロイド産生細胞の亜集団が産生するコルチコトロピンによって調節されていると考えられる.したがって,両側副腎皮質大結節性過形成に関連する高コルチゾール血症は,コルチコトロピン依存性であると考えられる.(フランス国立研究機構ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 369 : 2115 - 25. )