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July 18, 2013 Vol. 369 No. 3

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低血糖の減少を目的とした閾値に基づくインスリンポンプの注入停止機能
Threshold-Based Insulin-Pump Interruption for Reduction of Hypoglycemia

R.M. Bergenstal and Others

背景

センサー付インスリンポンプの閾値で注入を一時停止する機能は,センサーの血糖値があらかじめ定めた値になった時点でインスリンの注入を停止することで,低血糖のリスクを最小限に抑えるためのものである.夜間低血糖を呈する患者において,センサー付インスリンポンプ療法で,閾値注入停止機能を併用する場合と併用しない場合とを評価した.

方 法

1 型糖尿病で,夜間低血糖が確認された患者を,センサー付インスリンポンプ療法に閾値注入停止機能を併用する群と併用しない群に無作為に割り付け,3 ヵ月間治療を行った.主要安全性評価項目は,糖化ヘモグロビン値の変化とした.主要有効性評価項目は,夜間低血糖の曲線下面積(AUC)とした.2 時間の閾値注入停止について,その後のセンサーの血糖値を解析した.

結 果

247 例を,閾値注入停止機能を併用したセンサー付インスリンポンプ療法群(停止群,121 例)と,標準的なセンサー付インスリンポンプ療法群(対照群,126 例)に無作為に割り付けた.糖化ヘモグロビン値の変化は 2 群で同程度であった.夜間低血糖の平均 AUC は,停止群のほうが対照群よりも 37.5%小さかった(980±1,200 mg/dL [54.4±66.6 mmol/L]×分 対 1,568±1,995 mg/dL [87.0±110.7 mmol/L]×分,P<0.001).夜間低血糖の発生頻度は,停止群のほうが対照群よりも 31.8%低かった(患者・週あたり 1.5±1.0 回 対 2.2±1.3 回,P<0.001).停止群では,夜間のセンサーの血糖値が 50 mg/dL(2.8 mmol/L)未満であった割合,50~60 mg/dL(3.3 mmol/L)未満であった割合,60~70 mg/dL(3.9 mmol/L)未満であった割合が,有意に低かった(各範囲について P<0.001).夜間にポンプが 2 時間停止した例は 1,438 件あり,2 時間停止後のセンサーの平均血糖値は 92.6±40.7 mg/dL(5.1±2.3 mmol/L)であった.4 例(すべて対照群)で重症低血糖を認めた.糖尿病ケトアシドーシスは発生しなかった.

結 論

この試験では,3 ヵ月間センサー付インスリンポンプ療法に閾値注入停止機能を併用することにより夜間低血糖が減少し,糖化ヘモグロビン値の上昇は伴わないことが示された.(Medtronic MiniMed 社から研究助成を受けた.ASPIRE ClinicalTrials.gov 番号:NCT01497938)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 369 : 224 - 32. )