December 26, 2013 Vol. 369 No. 26
半月板変性断裂に対する関節鏡視下半月板部分切除術と偽手術との比較
Arthroscopic Partial Meniscectomy versus Sham Surgery for a Degenerative Meniscal Tear
R. Sihvonen and Others
関節鏡視下半月板部分切除術は整形外科でよく行われる手技の 1 つであるが,その有効性の正確なエビデンスは不足している.
内側半月板変性断裂に一致する膝症状を呈するが,変形性膝関節症は認められない 35~65 歳の患者 146 例を対象として,多施設共同無作為化二重盲検偽手術対照試験を行った.患者を,関節鏡視下半月板部分切除術群と偽手術群のいずれかに無作為に割り付けた.主要評価項目は,治療処置後 12 ヵ月の時点でのリショルムスコアおよび西オンタリオ半月板評価ツール(WOMET)スコア(いずれも 0~100 で,スコアが低いほど症状が重度であることを示す)の変化と,運動後の膝痛(0~10 の尺度で評価し,0 は痛みがないことを示す)の変化とした.
intention-to-treat 解析において,いずれの主要評価項目についてもベースラインから 12 ヵ月後までの変化に群間で有意差は認められなかった.主要評価項目の平均変化(改善)量は次のとおりであった;リショルムスコアは半月板部分切除術群 21.7 ポイントに対して偽手術群 23.3 ポイント(群間差 -1.6 ポイント,95%信頼区間 [CI] -7.2~4.0),WOMET スコアはそれぞれ 24.6 ポイントと 27.1 ポイント(群間差 -2.5 ポイント,95% CI -9.2~4.1),運動後の膝痛スコアはそれぞれ 3.1 ポイントと 3.3 ポイント(群間差 -0.1 ポイント,95% CI -0.9~0.7).後に手術を要した患者数(半月板部分切除術群 2 例,偽手術群 5 例)にも,重篤な有害事象の発生数(それぞれ 1 件と 0 件)にも,群間で有意差は認められなかった.
変形性膝関節症は認められないが内側半月板変性断裂の症状を呈する患者を対象としたこの試験では,関節鏡視下半月板部分切除術後の転帰は,偽手術と比較して良好ではなかった.(シグリッド・ユーセリウス財団ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00549172)