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August 8, 2013 Vol. 369 No. 6

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再発または難治性のマントル細胞リンパ腫に対するイブルチニブを用いたブルトン型チロシンキナーゼ標的治療
Targeting BTK with Ibrutinib in Relapsed or Refractory Mantle-Cell Lymphoma

M.L. Wang and Others

背景

ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)は,B 細胞癌の発生機序に関与する B 細胞受容体シグナル伝達経路のメディエーターである.第 1 相試験において,BTK 阻害薬であるイブルチニブ(ibrutinib)は,マントル細胞リンパ腫を含むいくつかの種類の非ホジキンリンパ腫に対して抗腫瘍活性を示した.

方 法

この第 2 相試験では,再発または難治性のマントル細胞リンパ腫の患者 111 例を対象として,イブルチニブ 560 mg/日の経口投与を検討した.患者を,ボルテゾミブによる治療歴が 2 サイクル以上の患者群と,2 サイクル未満またはボルテゾミブによる治療歴がない患者群の 2 群に分けた.主要エンドポイントは全奏効率とした.副次的エンドポイントは奏効期間,無増悪生存期間,全生存期間,安全性とした.

結 果

年齢中央値は 68 歳で,臨床的予後因子によると患者の 86%が中間リスクまたは高リスクのマントル細胞リンパ腫を有していた.患者は中央値で 3 種類のレジメンによる治療を受けていた.治療に関連する有害事象で頻度が高かったのは,軽度または中等度の下痢,疲労,悪心であった.グレード 3 以上の血液学的イベントの頻度は低く,好中球減少症(患者の 16%),血小板減少症(11%),貧血(10%)などが認められた.奏効率は 68%(75 例)で,完全奏効率は 21%,部分奏効率は 47%であった.ボルテゾミブによる治療歴は奏効率に影響を及ぼさなかった.追跡期間の推定中央値は 15.3 ヵ月,奏効期間の推定中央値は 17.5 ヵ月(95%信頼区間 [CI] 15.8~未到達),無増悪生存期間の推定中央値は 13.9 ヵ月(95% CI 7.0~未到達),全生存期間中央値は未到達であった.18 ヵ月の時点における推定全生存率は 58%であった.

結 論

イブルチニブは,再発または難治性のマントル細胞リンパ腫に対して単剤で持続的な効果を示した.(Pharmacyclics 社ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT01236391)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 369 : 507 - 16. )